研究課題/領域番号 |
05277101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡野 栄之 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60160694)
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研究分担者 |
古市 貞一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50219094)
内山 英穂 横浜市立大学, 文理学部, 助手 (10221110)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1993年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | アフリカツメガエル / 卵母細胞 / IP_3受容体 / 免疫組織化学 / カルシウム波 |
研究概要 |
(a)アフリカツメガエル卵母細胞において発現しているIP3受容体のcDNAクローニングと構造解析; アフリカツメガエル卵母細胞のcDNAライブラリーを作成し、マウスIP3受容体のcDNAをプローブとして、アフリカツメガエル卵母細胞において発現しているIP3受容体の全長cDNAクローンを単離した。この全塩基配列を決定し、翻訳可能な読み枠(open reading frame)を検索したところ、2693アミノ酸残基(8079塩基対)のポリペチド鎖(推定分子量310kD)をコードすることが明かとなった。マウスおよびショウジョウバエの相同分子との構造の比較より、1;N末端側のIP3結合部位、2;中央部の調節部位、3;C末端近傍の膜貫通部位等の機能的ドメインを有するIP3依存性のカルシウムチャネルをコードすると考えられた。 (b)アンチセンスオリゴヌクレオチドによる卵活性化の阻害; 得られたcDNAクローンに対する特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを卵母細胞に注入し、プロジェステロン処理により成熟させた後、IP3による卵活性化が対照(センスオリゴヌクレオチド注入群)と比較して有意に阻害されていることが明かとなった。アンチセンスオリゴヌクレオチド注入卵では、IP3受容体の合成が特異的に阻害されていることが、免疫沈降法により明かとなった(図2)。 (c)IP3受容体の免疫組織化学的局在; 大腸菌内で発現させたC末端より155アミノ酸部分をウサギに免疫し、抗血清を得た。これを用いて、アフリカツメガエル卵母細胞および卵におけるIP3受容体の免疫組織化学的局在を検討した(図3)。ステージVIの卵母細胞において、IP3受容体は、cortexを含む動物極細胞質及び卵核胞の周囲に多く存在する。未受精卵においては、動物極の細胞質内と動植物の両極の表層部に濃縮し局在した。表層部での染色像は、明瞭なpatch状の染色像と細胞膜直下の表層顆粒を取り囲むと思われる円形状染色像の2つからなる。IP3受容体の染色像は、受精によって大きく変化した。即ち、表層部の明瞭な染色像が、一様に広がった帯状の染色像になり、細胞膜直下の円形状染色像が、消失することが明らかとなった。IP3受容体が動物極側に極在することは、精子が動物極より進入し、精子進入点からのカルシウム波の発生とよく対応し、IP3受容体の受精における役割が強く示唆された。
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