研究課題/領域番号 |
05277202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 治正 東京大学, 医学部(医), 助教授 (40134283)
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研究分担者 |
高橋 國太郎 東京大学, 医学部(医), 教授 (10010034)
見学 美根子 東京大学, 医学部(医), 日本学術振興会特別研
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1993年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | Xenopus Laevis / 神経誘導 / 塩基性FGF / 初代ミクロ培養系 / 神経系頭尾軸 / 定量的RT-PCR法 / homeobox遺伝子 |
研究概要 |
申請者らはこれ迄に、嚢胚期の背側中胚葉の作用により外胚葉から神経系が分化する、いわゆる神経誘導過程をツメガエル初期嚢胚細胞の初代ミクロ培養系において解析してきた。その結果、塩基性FGF(bFGF)が未分化外胚葉細胞に対し生理的濃度で背側中胚葉の神経誘導作用を代行し、神経管系統の中枢神経系ニューロンと神経冠系統の色素細胞の両者を誘導分化させる事が明らかになった。今年度はbFGFが内在性の神経誘導因子である事を確証する目的で、1.bFGFの神経誘導作用が遺伝子の転写レベルで起こる事を確証し、2.背側中胚葉の神経系頭尾軸形成作用を代行し得るかどうかを検証する為に、以下の実験を行い新たな知見を得た。1.様々な濃度のbFGF存在下で培養した外胚葉細胞からRNAを抽出し、神経分化マーカーのNCAMと表皮分化マーカーの表皮型ケラチンの発現を定量的RT-PCR法により定量解析した。その結果、NCAMの発現はbFGFの濃度に依存して誘導され、逆にケラチンの発現は抑制される事がわかり、bFGFの神経分化誘導効果と表皮分化抑制効果が転写レベルで起こる事が明らかになった。またこの時背側中胚葉マーカーのgoosecoidの転写発現は誘導されなかった事から、bFGFが外胚葉細胞に直接作用して神経分化を誘導する事が明らかになった。2.上記1の各RNA試料について、ツメガエル発生初期に後脳、脊髄で各々局所的に発現するhomeobox遺伝子En-2、XlHbox-6の転写発現量を定量解析した。その結果、bFGFは2種の部域マーカーの発現を濃度により差次的に誘導する事が明らかになった。この結果はbFGFが生体内で濃度勾配を形成し、中枢神経系の部域化を誘導する事を示唆する。今後はこの点を確証する為に前脳など部域マーカーの種類を増やし更に詳細な解析を行うと共に、生体内でFGF受容体のdominant negative突然変異の導入によりbFGFの作用を阻害したとき神経系の形成にどの様な影響が生じるかを解析していくつもりである。
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