研究概要 |
我々はツメガエル未受精卵と胞胚にすでに中胚葉誘導を引き起こすのに充分量のアクチビン様活性が存在することを見いだして,母性由来アクチビンが正常胚において中胚葉誘導反応の引き金を引いている可能性を提示した。本年度はアフリカツメガエル卵に母性由来アクチビン及びホリスタチンが存在することを明かにすることに焦点を当てて研究を実施して次のような成果を得た。 (1)ツメガエル由来細胞XTCの培養液をアフィニティークロマトグラフィー,FPLCゲルろ過ついで逆相HPLCにより分画した。その結果,ホリスタチンと三種類のアクチビンA,AB,Bをそれぞれ単離することに成功し,ツメガエルにも三種類のアクチビンアイソフォームが存在することを確認することができた。 (2)ツメガエル初期胚の中胚葉誘導の場において,アクチビン-ホリスタチン系がどのように機能しているのかを知るために,これらのタンパク質因子をツメガエル胚に同定することを試みた。約10,000個の初期胚(ステージ1-5)から,(1)と同じ方法により精製した。逆相HPLCカラムからの溶出位置及び各画分の活性測定の結果から,ホリスタチン及び三種類のアクチビンをそれぞれ同定することができた。回収された活性から概算すると収量は10,000個の卵からホリスタチンが402ng,アクチビンA,AB及びBがそれぞれ1.4ng,1.3ng,6.4ngと算出された。これらの結果から,カエル初期胚には,アクチビンBがアクチビンAやABに比べ数倍多く含まれていること,そしてホリスタチンが大過剰存在していることが示唆された。
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