研究課題/領域番号 |
05277211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
川村 和夫 高知大学, 理学部, 助教授 (30136361)
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研究分担者 |
藤原 滋樹 高知大学, 理学部, 助手 (40229068)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 出芽ホヤ / 形態調節 / 多能性細胞 / アルカリフォスファターゼ / 分化転換 / レチノイン酸 / レチノイン酸シンターゼ / ホメオボックス遺伝子 |
研究概要 |
出芽ホヤは、体のほとんどの組織や器官を再構築することのできる分化多能性上皮組織をもつ。レチノイン酸は付加再生の場を乱すことが知られているが、出芽ホヤの形態調節にも作用することが最近判明した。我々はまず、ホヤ多能性上皮が分化しており、細胞は色素〓粒を含みアリカリフォスファターゼを発現していることを示した。組織再構築に伴って、これらの分化形質が失われ、新たな分化形質が発現するので、これは分化転換に他ならないと結論した。第二にレチノイン酸や内在性レチノイドがこの分化転換(形態調節)に関与している可能性を検討した。 HPLCを駆使し、ホヤの体内に多量のレチナール(レチノイン酸前駆体)と150ng/gのレチノイン酸が検出されることを示した。この濃度のレチノイン酸はホヤ芽体に二次軸を誘導することができた。一方、レチノイン酸合成酵素の候補としてのアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADH)は芽体の形態形成領域で発現しており、in vitroではレチナールを基質とすることが出来た。これらの事実から、内在性レチノイン酸は芽体の形態調節の引金をひくトリガーであると結論した。第三に、レチノイン酸の標的が間充織細胞であることを示した。ホヤ間充織細胞はレチノイン酸を速やかに取込み、それを安定に維持することができた。その細胞をホヤ芽体に移植すると、二次軸が誘導された。表皮や囲〓腔上皮にはそのような効果は認められなかった。第四に、レチノイン酸関連遺伝子群のクローニングを行った。ADH遺伝子断片をPCRで増幅しその配列を決定したところ、その一つはマウスで唯一構造決定されているレチノイン酸シンターゼ(AHD2)遺伝子に高い類似性を示した。HOM_-Cホメオボックス遺伝子もすでに幾つか得られており、その中には芽体でのみ発現しているものもあった。レチノイン酸受容体遺伝子のクローニングも進行中である。
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