研究課題/領域番号 |
05277218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
濃野 勉 川崎医科大学, 医学部, 助手 (20098619)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 位置価 / パターン形成 / 四肢の発生 / ホメオボックス / 細胞増殖因子 / HGF / TGF-beta / FGF |
研究概要 |
前後軸にそった四肢のパターン形成に、肢芽後部のZPA(zone of polarizing activity)と呼ばれる領域の間充織細胞が中心的な働きをしている。従来、ZPAのシグナルはレチノイン酸であると言われていたが、レチノイン酸は肢芽細胞を極性化することによって間接的に作用すると考えられている。本研究では、位置価の決定に関わるホメオボックス遺伝子の発現調節のメカニズムを解明するために、以下の点を調べた。 1.HoxDの発現に関わるシグナル:ニワトリ胚の肢芽にマウスのZPAを移植し、HoxDの発現を調べた実験などから、ZPAに由来する因子とAER(apical ectodermal ridge)に由来する因子の両者がHoxDの発現誘導とそれによる位置価の決定に必要であると考えられる。 2.肢芽で発現する他のホメオボックス遺伝子:mshに近縁のMsx1、Msx2はAERおよびAERの直下の間充織で発現しており、特にMsx1はAER因子によって発現が誘導されるが、ZPAによる影響は見られない。また、pairedに近縁のホメオボックスを持つPrx1は肢芽の間充織で特異的な発現が見られるが、AERによる影響は受けず、肢芽間充織細胞としての個性の決定に関係していると考えられる。 3.パターン形成に関わる増殖因子とそのレセプター:四肢形成におけるFGFとTGF-betaのファミリーの増殖因子の役割を理解するために、これらのレセプターの肢芽での発現を調べた。FGFレセプター(FGFR1〜FGFR4)について調べると、FGFR2は外胚葉および肢芽の中心部の間充織細胞で特異的な発現が見られ、一方、FGFR1、3、4は肢芽全体で均一な発現が見られた。FGF-4はニワトリ胚の肢芽でもAERで特異的な発現が見られる。さらに、FGF-4を肢芽の近くで強制発現すると過剰指形成が誘導されることから、FGF-4はAER因子の1つであると考えられる。 TGF-betaファミリーのタイプI、IIレセプターは膜結合のSer/Thrキナーゼ様の構造をとる。その中のアクティビンレセプター、IIAとIIBは初期の肢芽では弱い発現しか見られないが、発生が進むと筋芽細胞、表皮、軟骨膜での発現が見られ、これらの組織の形成に関与していると思われる。 肝細胞増殖因子(HGF)を産生している線維芽細胞MRC-5は初期の後肢肢芽の前部に移植すると重複肢を誘導する。ニワトリ肢芽でのHGF遺伝子の発現はAER直下の間充織で見られる。前後軸にそった発現強度に差は見られないが、AERの形成とHGFの発現に時間的、空間的な相関が認められる。したがって、HGFはAERの誘導または維持に関与する因子の1つと考えられる。
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