本研究は地球温暖化等の環境問題に関連して、廃棄、再利用等の必要性が認識されている炭酸ガスを還元し、有効性の高いアルコールを選択的に得る光電気化学的手法を開発すること目的とした。 従来、炭酸ガスの電気化学的還元の基礎研究は数多く行われてきた。その結果、生成物はカソードに用いる金属材料や電極電位に大きく依存することが知られていた。しかし、還元生成物が電極金属の類似や電位にどのように依存するのかは、現象論にわかっているだけであった。一方、我々は最近、生成物の電極材料、電極電位による変化を統一的に説明する反応機構を得た。現在ほとんどの研究者の目は、銅電極によるメタン生成に向けられている。しかし、アルコールが炭酸ガスの還元生成物として簡単にできるということのほか、実用的観点から非常に注目すべき現象であると申請者は考えている。本研究において、 1.銅電極を用いて炭酸ガスがアルコールに還元されるその分子論の基づいて実験手法により明らかにした。 2.我々が得たモデルをもとに、太陽エネルギーによりアルコールを選択的に生成する電極の設計と作製を行った。 また、以下に、具体的な研究遂行をし、ほぼ目的とした研究成果が達成できた。 1)銅電極を用い、アルコール発生の最適条件を決めた(電位、電解質、温度)。 2)酸素原子同位体の水、H_2O^<17>を用い、生成アルコールの酸素原子が炭酸ガスに由来するのか、水に由来するのかを決め、反応機構をさらに検証した。 3)アルコール生成に適当な電極材料と予想され、n-型半導体を持つ酸化銅を暗状態でカソード極で用いて炭酸ガス還元を行い、反応生成物の電極依存性を調べ、生成物分布のマップをつくり、反応機構を調べた。
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