研究概要 |
本研究においては,可燃性気体または固体爆発性物質の爆発によって得られる高温・高圧状態を利用して有害廃棄物あるいは難分解性物質を瞬間的に加熱・加圧して分解し,無害化を図る方法について検討を行った。 ここではオゾン層破壊物質であるフロンを密閉容器内に導入し,気相及び固相の爆発反応によって分解し,その際の爆発パラメータとフロン分解率の関係を求め,さらに反応生成物の定性・定量により分解反応機構の推定を行った。研究成果の概要は以下の通りである。 [1]気相爆轟法によるフロン12の分解 実験室規模の密閉系爆轟波管中に導入したC_3H_8+2・CCl_2F_2+n・O_2混合気体を電気スパーク点火により爆轟(デトネーション)を発生させ,混合気の酸素割合とフロン12分解率の関係について検討した。初期圧力1atmではいずれの場合にも安定した爆轟が確認され,理論計算結果と良好な一致を示した。またフロン12については,99.9%以上の高分解率が得られた。一方,反応生成物の定性により,高濃度のHFやHCIが確認され,プロセス連続化における腐食対策及び物質回収方法の確立が課題となった。 [2]固相爆発法によるフロン113の分解 内容積1〓,耐圧30MPaのSUS316製密閉容器中で固相爆発性物質を爆発させ,液体物質であるフロン113の分解可能性について検討した。ガス発生剤(SA+MnO_2)及びニトロセルロース(NC)は着火感度,爆発威力の点から有効な物質と考えられた。爆発の際の発熱量とフロン113(試料量5cc)の分解率の関係より,発熱量30KJ以上において99.9%以上の分解率が得られること,また反応生成物の定性から,水素を含有しない爆発性物質の使用により,HFやHCIを発生することなく,処理できることがわかった。
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