教育責任に関する人間形成論的総合研究-生涯教育の世代論的基礎づけのために

• 研究課題/領域番号: 05301032
• 研究種目: 総合研究(A)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 教育学
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 岡田 渥美 京都大学, 教育学部, 教授 (70027960)
• 研究分担者: 岡本 哲雄 近畿大学, 教職教育部, 講師 (60268464) ; 矢野 智 (矢野 智司) 京都大学, 教育学部, 助教授 (60158037) ; 中村 清 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (20030033) ; 田中 毎実 京都大学, 高等教育教授システム開発センター, 教授 (70093432) ; 野々村 昇 活水女子大学, 文学部, 教授 (70030038) ; 山口 充 近畿大学, 教職教育部, 教授 (80158120) ; 斎藤 育子 西南女学院短期大学, 家政科, 助教授 (60215530) ; 毛利 猛 香川大学, 教育学部, 助教授 (50219961) ; 大西 正倫 大谷大学, 短期大学部, 助教授 (40169016) ; 伊藤 一也 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (70159862) ; 西村 拓生 仁愛女子短期大学, 幼児教育科, 講師 (10228223) ; 北岡 宏章 神戸女子短期大学, 初等教育科, 助教授 (50195244) ; 吉田 敦彦 神戸市立外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20210677) ; 山崎 高哉 京都大学, 教育学部, 教授 (60068749)
• 研究期間 (年度): 1993 – 1995
• 研究課題ステータス: 完了 (1995年度)
• 配分額: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円); 1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円); 1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円); 1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
• キーワード: 教育責任 / 人間形成 / 世代連鎖 / 異世代間相互形成 / ホモ・エドゥカンス / 人間形成論 / 生涯教育 / 教育人間学 / ホモ・エドウカンス / 責任 / 世代 / 異世代間相互規制

研究概要

1.今日の深刻な教育危機を、つまりは、現代文明自体が孕む危機を克服するためには、教育を「子ども期」に限定してきた従来の教育学の視野狭窄を突破し、人間の「存在と生涯の全体」を視野に入れた包括的・原理的な「人間形成論」を構築しなければならない。こうした問題意識から我々はすでに、「生涯教育」及び「老いと死」に関する人間形成論的研究を行った。
2.我々は、人間まるごとの「全一性」(as a whole)に即した包括的な「人間形成論」の構築を目指しているが、そのためには必然的に「世代連鎖」を理論枠に組みこまざるを得ないし、しかもここに自ずから、先行世代による後続世代への「教育責任」の問題が顕在化してくる。この主題は、包括的な人間形成論を構築するための原理的なテーマであると同時に、国家・人類の存続に関わる文明論的・人類史的問題でもある。
3.我々は、平成5年より3年間、包括的な「教育責任論」の構築を試みてきた。すなわち、まず、「教育責任」に関わる文献を検討した。しかし、人間の存在と生涯の全体を視野に入れた、特に「異世代間相互形成」に焦点づけた研究は皆無であることがわかった。次いで我々は、研究の全体的枠組みと役割分担を策定した。最終年度は、これまでの研究成果を報告書に纏めた。その中で我々は、教育責任の問題は、「異世代相互形成」の問題であることを明らかにするとともに、この教育責任問題の視角から、「異世代間相互規制・相互形成」こそ、まさしく人間の「存在」と「形成」の基本構造であることを明らかにした。だが今回は「人間形成論的教育責任論」の輪郭を素描するに止まった。我々は今後、「ジェネラティヴィティ」などの問題を掘り下げ、より包括的・原理的な教育責任論を展開し、それを一書にして公表する予定である。

研究成果

• [文献書誌] 中村清: "社会の個性について" 宇都宮大学教育学部紀要. 第46号. 113-128 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 岡本哲雄: "K.ディーネルトにおける教育の人間学的基礎づけ-「責任性性への教育」をめぐって" 関西教育学会紀要. 第16号. 55-59 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 菱刈晃夫: "タウラ-における「底(grunt)」への還帰とキリスト教的人間の責任" キリスト教教育論集(日本キリスト教教育学会). 第4号. (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 高根雅啓: "「教育責任」に関する一考察-ヘルム-ト・ダンナーの「教育責任」の概念を手がかりに-" 京都大学教育学部紀要. 第41号. 196-205 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 岡田渥美(編著): "人間形成論-教育学の再構築のために" 玉川大学出版部, 438 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Kiyoshi NAKAMURA: "On Individuality of Society" Bulletin of The Faculty of Education Utsunomiya University. No.46. 113-128 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Tetsuo OKAMOTO: "The Anthropological Foundation of Education in Karl Dienelt : "Education to Responsibility"" Annual Report of Kansai Kyoiku Gakkai. No.16. 55-59 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Akio HISHIKARI: "The Retern to the 'Grunt' in Tauler and the Responsibility of Christian" The Japan Journal of Christian Education, The Japan Christian Education Society. No.4. (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Masahiro TAKANE: ""Pedagogical Responsibility" : Based on the Concept "Pedagogical Responsibility" Helmut Danner's." Bulletin of The Faculty of Kyoto University. No.41. 196-205 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Atsumi OkADA (ed.): Educational Theory Of Human Development As A Whole : Toward Reconstruction Of Pedagogy. Tamagawa University Press, 438 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] 中村清: "社会の個性について" 宇都宮大学教育学部紀要. 第46号. 113-128 (1996)
• [文献書誌] 岡本哲雄: "K-ディーネルトにおける教育の人間学的基礎づけ-「責任性への教育」をめぐって" 関西教育学会紀要. 第16号. 55-59 (1992)
• [文献書誌] 菱刈晃夫: "タウラ-における「底(grunt)」への還帰とキリスト教的人間の責任" キリスト教教育論集. 第4号. (1996)
• [文献書誌] 高根雅啓: "「教育責任」に関する-考察-ヘルム-ト・ダンナーの「教育責任」の概念を手がかりに-" 京都大学教育学部紀要. 第41号. 196-205 (1995)
• [文献書誌] 岡田渥美(編著): "人間形成論-教育学の再構築のために" 玉川大学出版部, 438 (1996)
• [文献書誌] 岡田渥美: "大学における「教養教育(高度一般教育)」の理念" 京都大学高等教育教授システム開発センター研究報告書『大学教授法の研究開発のために』. 18-39 (1994)
• [文献書誌] 岡田渥美: "教育哲学を考える" 教育哲学会機関誌『教育哲学研究』. 第70号. 51-54 (1994)
• [文献書誌] 皇 紀夫: "授業の中での“活動"を考える" 社団法人初等教育研究会機関誌『初等教育研究』. 1117号. 12-15 (1995)
• [文献書誌] 中村清: "公教育と国民教育-教育基本法の国民教育的性格" 宇都宮大学教育部紀要. 第45号. (1995)
• [文献書誌] 田中毎実: "教育の技術以前と技術以後-教育技術学批判のために" 愛媛大学教育実践研究指導センター紀要. 第12号. 155-170 (1994)
• [文献書誌] 山田武人: "現世的敬虔-シュプランガー教育学の根底にあるもの" 金城学院大学論集. 第153号. 87-113 (1994)
• [文献書誌] 大西正倫: "「国際化教育」の基底原理を求めて" 大谷大学研究年報. 第45集. 1-53 (1994)
• [文献書誌] 岡本哲雄: "Franklの実存分析からみた子どもと教育" 関西教育学会紀要. 第18号. 21-25 (1994)
• [文献書誌] 岡田渥美(編著): "老いと死-人間形成論的考察" 玉川大学出版部, 412 (1994)
• [文献書誌] 和田修二(編著): "臨床教育学(分担執筆,皇紀夫「臨床教育学研究」)" アカデミア出版, 350 (1995)
• [文献書誌] ホリスティック研究会(伊藤隆二,山之内義一郎他): "ホリスティック教育理論入門(分担執筆,吉田敦彦「第2章ホリスティック教育の基本的観点」,「第7章ホリスティック教育理論の射程」)" 柏樹社, 190 (1995)
• [文献書誌] 武安 宥(編著): "教育のロゴスとエロース(分担執筆,山口充「教育の語義と概念」)" 昭和堂, 250 (1995)
• [文献書誌] 中村清: "公教育の目的としての理性的存在の概念" 宇都宮大学教育学部紀要. 第44号. (1994)
• [文献書誌] 田中毎実: "教員養成の人間学的・歴史的基盤とその制度化" 平成4年度大学教育方法等改善経費による研究報告書『教員の資質・能力の構成分析とその養成に関する理論的・実証的研究』. 7-58 (1993)
• [文献書誌] 田中毎実: "教育理論の再構築と脱構築-研究討議「ライフサイクルの危機と教育理論の再構築」に関する統括的報告" 教育哲学会機関誌『教育哲学研究』. 第69号. (1994)
• [文献書誌] 毛利猛: "教員の資質・能力としての教育的距離" 平成4年度大学教育方法等改善経費による研究報告書『教員の資質・能力の構成分析とその養成に関する理論的・実証的研究』. 81-94 (1993)
• [文献書誌] Atsuhiko Yoshida: "Beyond the Choice of “Freedom"or“Compulsion"" Holistic Education Review. Vol.7,No.1. (1994)
• [文献書誌] 岡田渥美: "老いと死-人間形成論的考察" 玉川大学出版部, 412 (1994)