研究分担者 |
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
坂井 秀弥 文化庁, 文化財保護部, 文化財調査官
久保 智康 京都国立博物館, 主任研究官 (50234480)
吉岡 康暢 国立歴史民俗博物館, 教授 (60183696)
四柳 嘉章 漆器文化財科学研究所, 所長
橋本 澄夫 石川県立埋蔵文化財センター, 所長
前川 要 富山大学, 人文学部, 助教授 (70229285)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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研究概要 |
社会とは,複雑な諸要素が有機的な関係をもちつつ,生成していくものである。そしてその一つ一つは一見,無関係に見えることが多いが、そこに潜在する相互の関係に社会の本質が表われるものである。従って、社会史を分析するには,考古資料に限っても,各種の生産流通,都市・町・村・城・寺社,墓地と,多様な対象を具体的に研究しなければならない。また中世社会を考えるには,古代や近世との比較も欠かせない。そこで,本書を実りあるものにするためには,研究分担者以外で北陸において実際に遺跡の調査に携わる第一線の研究者,また自然科学分野などの多くの研究者に研究協力者を依頼して,研究を進めた。 本書の特色は、個々の事象を明らかにするに止まらず,その諸関係を踏まえて,北陸の中世社会史を解明しようとするものである。とりわけ,生産・流通,都市・町・村・寺社,墓地という,従来は,個別に研究される傾向のあった三大部門を,総合的に考察することによって,古物学を歴史学に結実させる,実験的試みを行なった。本書の公刊後は、その成果は北陸の歴史研究に止まらず,当時の全国的な社会構造あるいは,日本中世社会の東アジアにおける特質にまでせまる基礎となったと考える。 従来、考古学の分野において,例えば陶磁器であるとか都市・町のような個別テーマの詳しい研究,あるいは簡略な総花的解説が多くなされてきた。しかしそれらを総合的に分析して,社会像を明らかにする作業はまだ端緒についたばかりと言ってよい。また文献史学や民族学のような隣接分野でも「社会史」の研究は盛んであるが,実際には家族史のような狭い領域の研究を,社会史と称していることが多い。この意味で,本書が、国内の諸研究に対して大きな刺激を与えることになるであろう。
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