配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
|
研究概要 |
各国の研究者の協力により,文献目録の作成がほぼ完了した。これを分析すると,さまざまのことがわかる。以下に,1例としてロシアの文献についてのべる。 ロシア(旧ソ連)は,ふるくから日本語研究のさかんな国である。ロシア語が日本人にしたしい言語でないため,その成果は一部の人にしか知られていないが,伝統的にはドイツとならぶ日本語研究の先進国であり,現在の量的な面からいっても,アメリカや中国につぐ地位をしめている。今回の目録は,主として科学アカデミー東洋学研究所のヴァルドリ教授によるものである。単行本目録と雑誌論文目録とがあるが,ここでは後者を利用する。この総計は730である。今回の目録には1870年代からのものがふくまれているが,中心は最近のものである。すなわち,1970年代233件,1960年代160件,1980年代149件とつづく。1980年代にいたって件数がへるのは,政治情勢の反映であろうか。戦前の状況をみると,1910年代に20件あったものが,1920年代10件,1930年代7件とおちこむ。これも当時の日ソ関係の悪化によるものであろう。 分野別にみると,合計して文法231件・語彙158件・概説94件・文字66件・歴史58件・音声40件という順序である。これを日本国内のばあいと比較してみよう。日本国内の欧文雑誌論文(ただし,戦後にかぎる)では,音声328件・文法112件・概説32件・語彙20件・文字12件・歴史5件となる。すなわち,日本国内の欧文論文は,音声・文法にかたより,それ以外の分野は,きわめてとぼしいのである。音声の研究は自然科学系の研究者によってすすめられることがおおく,そのため国際性を重視して欧文(主として英語)でかかれた論文の比重がたかくなるのである。
|