研究分担者 |
杉ノ原 伸夫 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (50090519)
金子 新 広島大学, 工学部, 教授 (10038101)
市川 洋 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (60128410)
深澤 理郎 東海大学, 海洋学部, 教授 (10143546)
馬谷 紳一郎 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (30112353)
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配分額 *注記 |
9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
これまでの黒潮に関する多くの研究は,水温・塩分場の観測データから深層の流れが弱いと仮定して求めた地衝流に基づいており,結果が相対的であった.そこで,流れの直接測定を基にして,黒潮とその沖合の再循環流(黒潮反流)の流量と熱流量を絶対値として求めることを試みた.四国の足摺岬沖に黒潮を横断する観測線を設け,1993年秋から1995年秋まで2年間にわたって集中観測を行った.この測線に沿って,多数の流速計や倒立音響測深器(IES)などを係留したほか,観測船による水温・塩分の断面観測(CTD/XBT観測)や曳航式音響ドプラー流速分布計(ADCP)観測を繰り返し行った.特に,この観測船による繰り返し観測をなるべく頻繁に行うためにASUKA(足摺岬沖黒潮協同観測)と名付けたグループを結成し,多くの研究者との協同観測を実施した.この補助金は,主として,ASUKAグループの活動を支えるために使われた.また,測線を,海面高度計を搭載した人工衛星TOPEX/POSEIDONの軌道に合わせることにより,そのデータの活用を計った. 現在も,取得したデータを解析中であり,最終的な結論は得られていないが,いくつかの重要な成果が得られた.最初の1年間の係留した流速計の記録と,その間にASUKAグループが繰り返し行った測線沿いのCTD/XBT観測のデータを組み合わせて,黒潮の絶対的な地衡流の断面分布を求め,その断面積分から絶対流量を求めた.その結果,黒潮の流量が,黒潮の沖合側と沿岸側での水位の差と非常に高い相関をもつことが明らかになった.この関係を使って,TOPEX/POSEIDONの最初の2年間の海面高度計データから,黒潮の絶対流量の時系列を得た.10日毎に得られた流量の推定値は,34から92 Sv (1 Sv=10^6 m^3/sec)の範囲で,時間とともに大きく変化しており,季節変化よりも半年に近い周期の変化の方が卓越している.黒潮の流量のこの2年間の平均値は56Svであった.
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