研究概要 |
工作機械の構造設計,誤差同定と補償,更に多軸工作機械の工具経路生成に有用となる形状創成理論の構築と応用に関し,下記の成果をあげることができた. 1.工作機械に存在する誤差を考慮した形状創成理論を体系化し,各種工作機械応用できるようにした. 2.上記形状創成理論モデルに立脚し,施盤,フライス盤を例にとって,工作機械の運動誤差が加工面の誤差に及ぼす影響を,計算機シミュレーションによって検討した.そして,考えられる各種構造の優劣を比較検討した.本手法を,更に5軸マシニングセンタに対しても応用し,加工誤差の定量的な比較を行った. 3.5自由度を持つ多軸制御工作機械に対し,5軸マシニングセンタとしての機能を発揮しうる構造を自動決定するアルゴリズムを構築した. 4.工作機械アライメント誤差理論的推定法を提案した.そしてこの推定法を縦フライス盤のX-Yテーブルの直交誤差,及びスピンドル軸の垂直誤差の推定に適用し,次のことを確認した.すなわち,工作機械のアライメント誤差と加工誤差の相互関係,並びに加工物形状の計測から工作機械のアライメント誤差を導出する手順を確立し,工作機械の精度向上に供した. 5.5軸制御工作機械は,5軸の配置によって様々な形態の構造が可能となる.それに呼応してNCデータも異なってくる.そこで,干渉を回避した5軸制御用CLデータを生成される汎用ポストプロセッサの構成法を構築した.更に,フラットエンドミルやボールエンドミルのように工具の端部切刃を使用だけでなく,側面の切刃をも使用して加工する場合のソフトウェアも研究し,加工実験によってその効果を確認した.
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