研究分担者 |
小澤 一雅 (小沢 一雅) 東京大学, 工学部, 助教授 (80194546)
前川 宏一 東京大学, 工学部, 助教授 (80157122)
二羽 淳一郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (60164638)
辻 幸和 群馬大学, 工学部, 教授 (50048922)
大門 正機 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016579)
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研究概要 |
本研究の目的は,高耐久性のコンクリートの実現を目指した多機能セメントの開発コンセプトを構築することである.ここでの多機能とは,フレッシュコンクリートの状態において流動性に富み,水和発熱による温度ひびわれや硬化収縮,乾燥収縮等によるひびわれに対する抵抗性が極めて高く,初期欠陥を生じにくいことをさす.本研究では,セメントの物理的および化学的特性がコンクリートの性能を及ぼす影響を定量的に評価することを目指し,コンクリート中の微視的現象に着目した統一評価モデルの構築に取り組んできた.そして,研究期間内に,以下の成果を得た. 1)コンクリートの流動性予測:コンクリートの流動性が,物理的特性の異なる固体粒子の集合体として扱うモデルにより予測可能であることを明らかにし,モルタルの粘度予測モデルを提案した.この際,高性能減水剤,微粉,粘剤による流動性への効果及び作用機構についても検討を行った. 2)温度ひびわれ抵抗性予測:セメントの水和反応の温度依存性を考慮した鉱物組成に基づく複合水和発熱モデルを,高炉スラグやフライアッシュなどの混和材を混入した系において,一般化を図った.さらに,複合水和発熱モデルに基づいて,セメント種類の相違を考慮できる強度発現モデルを提案した. 3)乾燥収縮ひびわれ抵抗性予測:コンクリートを骨材相,マトリックス相,遷移帯相の3相に分離して扱うことで,セメント硬化体の細孔構造に立脚した水分移動モデル及び乾燥収縮予測モデルの一般化を図ることに成功した.また,乾燥収縮によるひびわれ危険度の数値評価システムを構築した. 今後は,各モデルの信頼性を一層高め,具体的な多機能セメントの提案に結び付ける必要がある.
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