研究分担者 |
三浦 房紀 山口大学, 工学部, 教授 (60109072)
中田 高 広島大学, 文学部, 助教授 (60089779)
林 春男 京都大学, 防災研究所, 助教授 (20164949)
能島 暢呂 広島工業大学, 工学部, 講師 (20222200)
浅野 照雄 広島工業大学, 工学部, 助教授 (10089790)
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研究概要 |
本研究は,倉橋島の南方を震央として1905年6月2日に発生し,広島・呉地域に被害をもたらした芸予地震(M=7 1/4)について,様々な研究領域からの総合的再評価を行い,地域社会の地震防災ための調査研究を行ったものであり,以下のような成果を得た. 被害実態調査の面では,震害記録の収集と芸予地震体験者へのアンケート調査を実施し,新聞,被害調査報告,気象台の報告などの収集資料の一部を付録として掲載した.また建物の被害状況の諸要因と,耐震構造の歴史的背景との関連について論じた. 芸予地震の震源断層については,まずその存在を確認するため,震源域付近の海域において音波探査による海底断層調査を行った結果,断層は海底まで達せず津波も発生しなかったとの結論が得られた.芸予地震の地震動強度に関しては,断層シミュレーションにより地震動分布を再現し,広島・呉地域での揺れを気象庁震度階V〜VI程度と推定した. 震害を大きく左右する地盤条件に関連しては,常時微動測定と重複反射理論により広島・呉の沖積地盤の固有周期を求め,地盤卓越周期を決定した.また松山市内の液状化発生箇所の推定を試みた結果,液状化が生じていないと推定され,液状化記録が無いことの裏付けを得た.沖積低地の連続試料採取のためのバイブロコアラーの開発も行っている. 将来の地震防災に対するアプローチとして,木造家屋の地震応答解析と,鉄筋コンクリート造建物群の震害建物の被害率の算定を行い,注目地域の地盤の固有周期と建物被害の関係を明らかにした.またシミュレーション法による鉄筋コンクリート造建物の耐震信頼度の評価を行い,震害予測の基礎資料とした.さらに,工学的地震危険度解析の結果から,芸予地震の地震域である安芸・伊予灘が,広島地域への地震危険度に対して高い寄与度を有することを明らかにした.
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