研究課題/領域番号 |
05304028
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中江 太治 東海大学, 医学部, 教授 (50102851)
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研究分担者 |
平松 啓一 順天堂大学, 医学部, 教授 (10173262)
後藤 直正 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (30121560)
山口 明人 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60114336)
井上 松久 北里大学, 薬学部, 教授 (10008336)
伊豫部 志津子 群馬大学, 医学部, 助教授 (90008318)
河野 恵 東京薬科大学, 教授 (10057292)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
19,900千円 (直接経費: 19,900千円)
1995年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1994年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1993年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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キーワード | 薬剤耐性 / 細菌 / 細胞膜 / 膜透過 / 排出ポンプ / 能動排出 / 修飾酵素 / 薬剤標的 / 薬剤 / 耐性 / 透過性 / 排出 / 膜蛋白 / 抗生物質 / 消毒薬 / 楽剤耐性 / 細菌感染 / 多剤耐性 / 病院内感染 / MRSA / 膜 / 緑膿菌 / beta-ラクタマーゼ / クローニング |
研究概要 |
細菌の薬剤耐性に係わる因子としては細胞膜における薬剤の透過性、その膜透過と連係して働く薬剤修飾酵素及び膜透過性と連係して働く薬剤標的の感受性の低下などがその主たるものである。薬剤の透過性には二つの機序があり、一つは薬剤の細胞内への侵入の問題、他の一つはいったん細胞内へ透過した薬剤の能動的排出である。本研究班はこれらの問題に能動的に取り組み、この三年間に多くの成果を得た。その主な点は次に述べるようなことである。1.薬剤の細胞内への透過の問題では主として緑膿菌ポーリン蛋白の抗生物質透過性を調べた。その結果緑膿菌ポーリンはOprD蛋白がイミペネムの特異的透過に役割を果たしていることを明らかとした。その他のポーリンの薬剤透過性に果たす役割は小さかった。イミペネム高度耐性ではOprDの欠損とセファロスポリナーゼの誘導もしくはカルバペナマ-ゼ産生能獲得の両因子が大きく係わっていることが明らかとなった。OprD蛋白はポーリン活性の他にプロテアーゼ活性も有していることを発見した。このβ-ラクタマーゼの誘導がどのような機序で起こるかという事は大きな問題であるが、ペニシリン結合蛋白の反応産物が係わっているらしいことが明らかとなった。2.近年新しい薬剤耐性の機序として注目されていることは薬剤の能動的排出である。本研究では緑膿菌における薬剤排出の研究を行い、薬剤排出に係わる遺伝子をいち早くクローン化及び同定し、更にはこの遺伝子が高発現されることによって構造的に異なる多くの薬剤に対して耐性となることを見いだした。テトラサイクリンの排出に関しては多くのTC排出蛋白において膜貫通領域の輸送機のうに係わるアミノ酸の同定を行った。その結果酸性アミノ酸が重要な役割をしていることを明らかとした。キノロン剤高度耐性株では薬剤の排出とDNA-gyraseの二重変異が係わっていることを明らかとした。3.ブドウ球菌及びその内でもMRSAに関してはMRSAのmexA遺伝子の由来に関する研究を行った。その結果これの発現に関しては二つの調節遺伝子が係わっており、いくつかの菌において共通の構造を見いだした。またMRSAの消毒剤耐性に係わる遺伝子の研究を行った。その結果消毒剤排出遺伝子はすべてのブドウ球菌に保存されており、一部緑膿菌のようなグラム陰性菌でも類似の配列を見いだした。又ブドウ球菌の病原因子であるロイコシジン及びγ-ヘモリジンにおけるサブユニットの共通性を明らかにした。 このように本研究においては細胞膜と薬剤耐性の総合的研究を行ったが、折しも薬剤耐性に係わる細胞膜の役割、薬剤排出などが世界的に問題となった時期でもあった。そしてその世界的なレベルでの問題提起に本研究班における研究が大きく貢献したことは喜ばしいことである。
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