研究課題
総合研究(A)
1993年5月から群発地震が再び活発になった。1989年7月には伊東沖において海底噴火が起こっており、総合的観測により地殻活動を研究することが重要である。地震、電磁気、地殻変動、地球化学、強震など多種類の観測を実施した。地震観測においては各種のアレイ観測を実施した。その結果、反射面・散乱体の位置を推定し、地殻内における散乱体の存在を示唆した。また、S波のコーダ波中のX相が重合により明瞭になった。地殻内部の不均質の度合いの研究が可能になり、伊東付近は不均質の度合いが強い事が明らかになった。顕著な反射波の相をいくつか観測しており、これらの相を用いて潮吹崎沖の地下構造を解析している。震源直上の海底地震観測により、地震活動がより明らかになった。さらに、震源の真上の観測点を含む震源近傍での強震観測を行い多くの強震波形を記録した。歪と温泉温度変化の観測を実施したが'86の伊豆大島噴火の時のような大きな歪変化は観測されなかった。松崎の温度測定によると通常の6℃から10℃近く低下しそれが回復した時に最大の地震(M4.2)が発生した。水位観測においてはEDY観測点で5/27から地下水位が異常に上昇し、地震活動や体積歪変化と対応している。地殻変動観測のための光波連続観測においては伊東・初島間で、1989年の海底噴火前後において23cmの伸長が観測されたが、1993年5-6月の群発地震活動においては約3cm伸長した。その後1993年9月から伊東宇佐美測線は月5mmの割合で伸長を続け、伊東初島測線は短縮している。GPSによる小室山観測点の水平変位(1993年7月-1993年12月)の観測によると1992/12-1993/6は213度方向へ54mm、1993年6-9は162度方向へ23mm、1993/9-12は88度方向へ46mm変位し、群発地震の震源域が半島内部に移動した。伊豆半島東部における地磁気地電流観測も実施し、永年的変化を観測する事ができた。