研究分担者 |
吉田 明夫 気象研究所, 地震火山部, 室長
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 助教授 (10114696)
安藤 雅孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (80027292)
衣笠 善博 地質調査所, 地震地質課, 課長
海野 徳仁 東北大学, 理学部, 助教授 (30004477)
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研究概要 |
本研究の目的は,過去30年間に蓄積された地震予知研究の成果を踏まえ,新しい視点から地震予知研究のあり方や予知手法を検討し,地震予知研究に新しい展望を開くことである。1962年に地震予知計画研究グループによりいわゆる「ブループリント」(正式名称:地震予知-現状とその推進計画)が出され,これが発端となってわが国の地震予知は,測地学審議会の建議に基づく国家事業として1965年から遂行されることとなった。第6次地震予知計画は本年度で終了するが,その進捗状況の報告は1992年に提出されている。本研究は,地震予知計画の発端となったいわゆるブループリントと第6次地震予知計画の進捗状況の報告書を基礎資料として,地震予知研究の現状を3つの部会に分かれて深く検討し,次のような展望を得た。 第1の部会は観測方法およびデータに関する検討を行った。少なくとも10〜20km規模の不均一な歪場の時間的変動の検出が急務であり,そのためには稠密なGPS連続観測が効果的である,との結論を得た。第2の部会はデータ解析・室内実験・理論に関して検討した。地震破壊核の成長過程に関する近年の実験的・理論的研究の進歩にはめざましいものがあるものの,地震の場への適用,前兆現象の発現機構等に関してはなお一層の努力が必要である。第3の部会は,とくに報告されている前兆現象の客観的評価基準が論じられた。この客観的基準を構築するためにも前兆現象の発現機構の解明を意図する目的的多項目総合観測と基礎研究の推進がもっとも重要である,との結論を得た。このような展望をより明確にし,新しいブループリントを目指して,「地震予知研究公開シンポジウム」を1994年6月に開催する。
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