研究課題/領域番号 |
05354012
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研究種目 |
総合研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類遺伝学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松田 一郎 熊本大学, 医学部, 教授 (10000986)
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研究分担者 |
島田 隆 日本医科大学, 教授 (20125074)
香川 靖雄 自治医科大学, 教授 (30048962)
成澤 邦明 東北大学, 医学部, 教授 (90004647)
多田 啓也 東北大学, 医学部, 教授 (20046907)
森 正敬 熊本大学, 医学部, 教授 (40009650)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / レトロウイルスベクター / アデノウイルスベクター / リポソーム / ジーンターゲッテイング / 遺伝名 / ミトコンドリア病 / 白血病 |
研究概要 |
研究班の目的は、遺伝子治療に向けての基礎的研究で、以下に述べる2本の柱を立てて行われた。 1.治療を目的とした遺伝子導入に関する研究 この研究の目的は遺伝子を目的細胞(組織)に導入する場合のベクターの開発、トランスフェクションの手法の改善、発現率増強のための手法の開発、導入した遺伝子の安定性の確保、さらには遺伝子導入により引き起こされる癌化の防止策の検討など、遺伝子導入に際して考えられる様々な問題を検討した。 遺伝子導入ベクターとして島田(隆)はHIVに着目した。これはレトロウイルスの一種でCD4陽性リンパ球に特異的に感染し、非分裂細胞の染色体に組み込まれる。このことから今後研究を重ねれば先天免疫不全、AIDS、癌の治療に利用できることを示唆した。斉藤はアデノウイルスベクターについて研究した。特にSRa、EF1a、CAG 3種のプロモーター活性につき検討しCAGがなかでも最も強力であることを見いだした(特許申請中)。島田(和)は遺伝子治療の理想的手法であるシーンターゲッテイングを用いた方法の開発を目指して、その効率を上げ、安定性を得る手法を検討した。そして、ヘルペスウイルスベクターの3′端を修飾することにより、細胞内でのベクターの安定性を得た。中西はセンダイウイルスがもつ膜融合性を利用し、リポゾームにこれを植え込んだ担体を開発した。また直接センダイウイルスをベクターに利用する手法も検討している。これは金田によっても追求されている。香川はミトコンドリア病の解明を精力的に行い、加えて、mtDNAパーテイクル銃を用いた、本症の遺伝子治療の基礎研究にも着手した。 2.遺伝子発現機構の解明と疾患との対応に関する研究 この研究の目的は遺伝子病(癌も含む)での遺伝子発現機構の異常を解明し、それが修復手法(治療)の対象になり得るか否かを検討するものである。なお、この研究にあたっては培養細胞や動物モデルでの検討が考えられる。遺伝子病の発症機構の解明がより詳細に究明されなければ、仮に遺伝子導入が成功しても、治療効果に結びつかない可能性もある。遺伝子発現機構(5′上流変異、胎児期突然変異、モザイクの解明、転写因子異常など)の解明はどの疾患に遺伝子治療の優先権を与えるかという問題にもつながる重要な研究である。 導入した遺伝子が本来の調節を受けて発現する方法はいろいろあるが、今井はその1つとして酵母人工染色体(YAC)を用いて数百kbの遺伝子単位を細胞に導入し、発現パターンを研究する手法を開発した。森は肝型アルギナーゼをモデルとして、その上流を解析し、導入遺伝子の発現効果を上げる工夫をした。平井はアンチセンスオリゴヌクレオチド法を用いてヒト白血病の治療の可能性を追及し、期待できる成果をあげた。谷はヒトのピルビン酸キナーゼ欠損症の治療を目標とし、マウスの骨髄細胞にレトロウイルスベクターを用いてこの遺伝子導入の実験を始めた。多田、折居はそれぞれプロピオン酸血症、ペルオキシゾーム病をとりあげ、その遺伝子解析を進め、将来の遺伝子治療に備えるデーターを集積した。 成澤、松田はフェニルケトン尿症、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症、モデル動物を用いて遺伝子治療の実験を開始した。
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