研究分担者 |
斎藤 軍司 (斎藤 軍治 / 斉藤 軍治) 京都大学, 大学院・理学研究所, 教授 (40132724)
加藤 礼三 東京大学, 物性研究所, 助教授 (80169531)
長田 俊人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (00192526)
和田 信雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90142687)
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配分額 *注記 |
32,900千円 (直接経費: 32,900千円)
1996年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1995年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1994年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1993年度: 16,800千円 (直接経費: 16,800千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,有機導体における低次元電子系の状態の特徴を,伝導電子間のクーロン相関に注目して解明するものである。研究成果は次の2点に要約される。(1)低次元導体電子状態の理解の強力な武器としての強磁場の役割を確立し,これに関係した多彩異な現象とその理論的基礎を明らかにした。(2)新奇な金属-絶縁体転移の起因が謎とされていた物質で,その物質的メカニズムを解明した。 TMTSF分子による1次元的有機導体の電子状態については,まず強磁場下における電気伝導現象に注目し,磁場と結晶軸のなす角度に関して多彩な変化を示す電気抵抗は,本研究によって,基本的にバンド理論とボルツマン方程式にもとづく半古典論で十分理解できることを明らかにした。この研究成果は,次項で述べる2次元的導体の研究にも共通の基盤となった。1次元性と電子相関の結果として生じるスピン密度波相の内部構造については,本研究で強磁場下の1粒子伝導という独自の観点からこの問題に取り組み,バンド構造の変化がスピンの密度波相の内部での電子状態変化をもたらしている可能性を明らかにした。 BEDT-TTF分子による2次元的有機導体の電子状態については,高圧下の角度依存磁気抵抗振動の測定によって,低温域で現れるいわゆる異常相の起因を明らかにした。さらに,磁場が2次元面に平行に近いときに現れる磁気抵抗の特異な増大が,電子系の3次元性の反映であることを実験と半古典論の計算によって解明した。 DCNQI分子による1次元的有機導体の金属-絶縁体転移については,本研究によってこの物質系の金属-絶縁体転移が,1次元性によるパイエルス転移,電子相関によるモット転移,銅イオンの周りのヤーンテラー効果,銅の2価イオンのスピンのエントロピーと磁性などのさまざまの機構が絡まったものであることが明らかになった。
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