研究分担者 |
島野 安雄 宇都宮文星短期大学, 文化学科, 助教授 (90154278)
田瀬 則雄 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (40133011)
田中 正 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (50015880)
極根 勇 (榧根 勇) 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10015539)
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配分額 *注記 |
34,400千円 (直接経費: 34,400千円)
1995年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1994年度: 27,500千円 (直接経費: 27,500千円)
1993年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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研究概要 |
深部岩盤内地下水流動についての研究は、未固結地盤性の帯水層が発達しているわが国においては,地下水資源としての相対的価値が低いためにあまり行われていなかった.近年,地下深部を施工するニーズの高まりと共に,岩盤内地下水の挙動把握が重要な研究課題となってきているが、岩盤地下水の流動そのものの実態把握はまだ極めて不十分な状況にある.国土の狭い割には地形起伏に富むわが国は,湿潤温帯気候下にあるため降水量が比較的多く,そのため年間を通じて地下水面が比較的高い標高に恒常的に存在し、地下水流動のdriving forceが強い環境下になっている。従って、透水性は低いが,岩盤内にも活発な地下水流動が存在していることが想定される. 起伏の大きな山地部から相対的に緩やかな傾斜の平野部に地形が展開される様な地形勾配の変換点においては、山地から流出する河川がその流動エネルギーを急激に失うためにそれまで輸送してきた物質を堆積するようになり、結果として扇状地と呼ばれる堆積地形が形成されるようになる。このような扇状地部では、その基盤となっている岩盤部を流動する地下水においても勾配の変換点として位置づけられ、山地部において涵養された地下水が上昇して湧出する地下水流出域としての特徴を持つことが考えられる。このような観点から本研究では、岩盤内地下水の流動の実態把握とそれが調査対象地の水循環過程に及ぼす影響の定量的評価を目的として栃木県今市扇状地地域を選定し,そこでの地下水調査,古水文解析,3次元地下水シミュレーション,200m級の2本の岩盤ボーリングとそれらを利用した地下水採水とその中に含まれる環境同位体成分(トリチウム、水素・酸素安定同位体比、炭素14、ヘリウム3等)を中心とする水質分析、および地下水ポテンシャル・地下水温測定等を実施し,これらの総合的な解析を行うことにより岩盤内の地下水流動を含む広域の地下水流動の実態について考察を行うと共に、扇状地礫層地下水の涵養源としての岩盤内地下水の影響についても考察を加えた。
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