配分額 *注記 |
28,700千円 (直接経費: 28,700千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1993年度: 24,300千円 (直接経費: 24,300千円)
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研究概要 |
本研究は,中新世(15〜13Ma)に形成された瀬戸内火山区の地殻深部構造と火成作用の性格,マグマの熱的影響を考察するたことを目的とした. 1.火山岩中の変成岩ゼノリスの研究 奈良-大阪県境の二上山,香川県雨滝山,天霧山,愛媛県松山西部上灘,同南部黒森安山岩・久万安山岩について変成岩ゼノリスの調査と解析を行った.二上山・雨滝山・松山南部および西部にゼノリスはマグマ溜まりの壁岩が熱変成作用と部分溶融を受け,溶けたメルトの固結途中で母岩マグマに捕獲され噴出したものである.熱変成と部分溶融の条件から,地殻の比較的浅部にマグマ溜まりが形成され,壁岩を溶融させる程度の高温帯が形成されたことが明らかになった.一方、天霧山のゼノリスは安山岩マグマが深部から上昇する過程で途中の岩石を捕獲し,加熱-溶融させたもので,熱的影響の程度によってどの深さからもたらされた岩石かが判断できる.この結果,領家変成岩層の下位にグラニュライトがあること,その下に三波川結晶片岩層があり,さらに下位に高温型の片麻岩層が存在することが推定された. 2.高温ホルンフェルスは三波川結晶片岩層の中に,異常に高い温度勾配をもつ変成域として局所的に存在し,年代測定の結果,瀬戸内火山活動期に形成されたものである.変成条件および流体包有物の解析からこれは異常に高温の流体が浸透することによって形成されたことが分かった.このような作用は極めて稀な例であり,瀬戸内区の深部が異常高温であったことを証明するものである. 3.瀬戸内区の酸性火山岩の岩石学的研究の結果,流紋岩類は地殻浅部に形成されたマグマ溜まりの壁岩が部分溶融によって形成され,デイサイト〜黒雲母ざくろ石安山岩はメルトとの混合によって形成されたと推定される.この岩石化学的研究は今後の課題である.
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