研究分担者 |
中嶋 悟 (中島 悟) 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80237255)
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40211966)
田賀井 篤平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40011738)
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)
鳥海 光弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10013757)
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配分額 *注記 |
32,100千円 (直接経費: 32,100千円)
1995年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1994年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1993年度: 23,600千円 (直接経費: 23,600千円)
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研究概要 |
本研究の目的は、透過型電子顕微鏡を導入し,地震研究所の変形試験機と併用して,岩石のレオロジーを総合的に研究する体制を整えることであった.薄膜作成装置も導入でき,電顕観察をおこなう体制が整った.断層帯の中心部を構成する岩石は非常に細粒であるため,透過電顕下での観察が不可欠であり,今後,変形微細組織の研究に十分に活用できる.主要研究成果は以下の通りである. (1)高速摩擦実験の結果に基づいて,地震の2段階発生過程の可能性を提唱した.地震の第2種空白域がこのモデルで説明できる可能性がある.天然の断層岩の研究においても高速断層運動の痕跡が得られつつある. (2)地温勾配の影響を再現する形で初めてリソスフェアを横切る実験に成功した.実験結果に基づいて,脆性・中間・完全塑性からなる断層モデルを提唱した.地震の下眼の意味,マイロナイトの生成条件などに関して,これまでの断層モデルは全て修正を受けた.大変形のもとでは,5%程度の柔らかい鉱物が断層の性質を支配し,断層帯中の層状鉱物(粘土鉱物など)の重要性が浮き彫りになった. (3)圧力溶解の理論が提唱され,間隙水中の溶質の拡散係数の測定が初めてなされた.これらは,圧力溶解による変形を定量的に評価する上で非常に重要である.また,断層の摩擦特性に対する水の影響が実験結果に調べられ、含水条件下の断層の摩擦特性に関する実験データの総まとめがなされた. (4)細粒断層岩の透過電顕観察の結果,斜長石の動的再結晶を示唆する結果が得られた.また,マイロナイト中の石英の転移密度と粒径の関係は変形実験で得られる関係とは異なっており,細粒マイロナイトの変形微細組織は変形後に改変された可能性が高いことを示唆する結果が得られた.
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