研究概要 |
従来熟練技能者の技能に依存していた研削加工条件の設定を知的に自動化することを目的とした本研究において、以下の成果をあげることができた. 1.熟練技能者の条件設定プロセスを模擬する意志決定モデルの構築.作業者が自己の経験から類似の加工事例を思い出し.その中から最も強く記憶している事例を選択するというプロセスを模擬するため,Feed Foward型ネットワークとBrain State in a Box型ネットワークを階層的に複合させた新たな方式を考案し,その有効性を計算機シミュレーションで確認した. 2.作業者の技能獲得を模擬する学習アルゴリズムの構築.生物の進化過程を数学モデル化したジェネティックアルゴリズムを応用し、加工事例から加工条件と結果の因果関係をファジィルールの形式で学習して技能に相当する知的データベースを作成する学習プロセスモデルを構築した.具体的には,円筒研削加工における加工面粗さと比研削エネルギ(研削焼けの発生を左右する.)を結果とし,これらを要求された値に納めるドレッシング条件と研削条件の組合せを決定する機能を持つ学習プロセスモデルを完成させた.計算機シミュレーションを通してモデルの改良を重ね,実用に供しうるシステムとすることができた.システムの有効性を実研削実験によって検証し,提案したシステムが十分に実用に供しうることを確認することができた. 以上要するに本研究は,研削加工における加工条件設定を知的に自動化するための2つの新たなアルゴリズムを提案し,その有効性を計算機シミュレーションと実研削実験で確認したものであり,この分野の先駆的な研究成果として位置づけられる.
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