配分額 *注記 |
34,200千円 (直接経費: 34,200千円)
1995年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1994年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1993年度: 26,600千円 (直接経費: 26,600千円)
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研究概要 |
ケイ素化合物の化学はややもするとすでに確立された分野のように思われがちであるが,それは四面体ケイ素化合物に限った場合のことである.八面体ケイ素化合物は,四面体ケイ素化合物より反応性にに富んでおり,生物無機化学的,生物化学的な重要性が予想されるにもかかわらず,その立体化学的な観点からの研究はほとんど手がつけられていない.我々は,クラーク数第一位の固体元素であるケイ素の化合物は地球上の生体系におにおいて,これまで知られていない重要な役割を担っていると確信している. 以上の背景を踏まえ,本研究を計画し,以下に示す成果を挙げた. はじめに,数種のシッフ塩基を配位子とするケイ素(IV)錯体の合成を試み,生成可能な配位子の構造を明らかにした. 1,10-フェナントロリン(=phen)を配位子とする[Si(phen)_3]^<4+>については,溶離剤に(+)_<589>ータルトラトアンチモン(III)酸ナトリウム(又はカリウム)を用いるSP-セファデックス(C-25)カラムクロマトグラフィーによって完全分割に成功した.この場合∧-[Si(phen)_3]^<4+>が先に溶離した. 上記のようなクロマトグラフィーにおける分割機構は,会合種のイオン会合定数の測定および経験的力場計算の結果から解明することができた.同様に2,2'-ビピリジン(=bpy)を配位子とする,[Si(bpy)_3]^<4+>の光学分割も試みたが,[Si(phen)_3]^<4+>の時の条件では成功しなかった.この場合は,分割剤にジベンゾイル(+)_<589>酒石酸ナトリウムを用いて成功した.この系についても,両イオン会合体の経験的力場計算を用い,実験結果を合理的に説明することができた.ヒノキチオールを配位子とする[Si(hit)_3]^+については幾何および光学異性体の分離に成功した. 哺乳類に対する毒性が青酸カリウムより高いものも含まれているシラトラン類の合成も行い,それらの立体構造を明らかにした. 一方無ケイ素条件下でのトマトの栽培実験から,非ケイ酸植物とされてきたトマトですら、ケイ素は成長および種の保存に対する必須の元素であることを証明した.
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