配分額 *注記 |
31,900千円 (直接経費: 31,900千円)
1996年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1995年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1994年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1993年度: 18,000千円 (直接経費: 18,000千円)
|
研究概要 |
骨粗鬆症の分子的基盤を明らかにする目的で,骨芽細胞並びに破骨細胞についてその細胞分化を制御する液性因子並びに細胞内において細胞の機能を調節する転写因子を中心に解析を行った.骨芽細胞においてはその分化と機能を制御する転写因子としてHelix-Loop-Helix型転写因子であるIdが発現することを明らかにし,その遺伝子制御がBMPによって調節を受けること,またレチノイン酸によって修飾を受けることを明らかにした.骨芽細胞に特異的に発現するオステオカルシンの上流にもHelix-Loop-Helix型転写因子が結合し,制御する機構が存在することを発見した.骨芽細胞の機能を調節する転写因子として,Helix-Loop-Helix型のADD1並びにHES1の存在とそれぞれのレチノイン酸並びにビタミンDによる制御機構が存在することを明らかにした.また骨芽細胞と共に軟骨細胞の研究を推進し,軟骨細胞株としてTC6細胞を樹立し,軟骨細胞を含む骨格系細胞において軟骨特異的な遺伝子の制御を制御するScleraxisの存在を明らかにした.更にこのScleraxisがTGFβ並びにFGFによって制御を受けることを示し,また軟骨の分化に重要な働きをするhedgehogが骨芽細胞でもTGFβによって制御されることを見出した.また骨芽細胞において,骨芽細胞の産生する主要な骨形成性のサイトカインであるTGFβのIII型受容体が骨芽細胞において糖質コルチコイドにより制御を受けることを明らかにし,新しいサイトカインであるプライオトロフィンがビタミンDによって制御を受けることを明らかにした.破骨細胞においてはその分化機構を支持する細胞の確立が重要であるが,SV40-largeT抗原を持つトランスジェニックマウスを用いて破骨細胞分化を支持し得る細胞株を樹立し,その細胞において発現する遺伝子群の詳細を解析した. 以上骨芽細胞並びに破骨細胞の両面,及びこの2つの細胞を繋ぐシグナルとしてのサイトカインについてそれぞれの分子レベルの調節機構を本研究において明らかにすることができ,今後の骨粗鬆症の治療手段の確立に向け,分子レベルでの知見の基盤が確立できた.
|