研究概要 |
陶材焼付用金合金石福KIK HARD II(以下,KIK)および松風ユニメタル(以下,UMT)を用いて,接着面の直径が10mm,厚さ4mmで他端にねじを付けた接着試験片を歯科精密鋳造法によって作製した。2個の試験片を1組にして,リン酸エステル系パナビア21EX(以下,PX21),4-META系接着剤スーパーボンドC&B(以下,SB)2種の接着剤を用い,接着剤層の厚さを約30,230,430μmに変えて接着した。試験片を37℃蒸留水中に1,7日浸漬したのち,接着界面に垂直な引張荷重を加えたときの静的引張接着強さ(σ,)を求めた。さらに接着界面に垂直な50Hzの交番引張応力をサーボパルサを用いて加え,10^6サイクルに対する疲労強さ(10^6時間引張接着強さ,σ_f)をステアケース法によって求めた。得られた測定値を,接着剤の厚さ(因子A),試験片の浸漬時間(因子B),接着剤の種類(因子C),合金の種類(因子D)について四元配置分散分析し要因の効果を分析した。結果を要約すると次のようになる。静的引張接着強さσ,は24条件で39〜53MPaの範囲内にあったが,10^6時間引張接着強さ(接着疲労強さ)σ_fは18〜37MPaの範囲に低下し,σ_f・σ_t^<-1>(疲労限度比)は0.54〜0.67の間にあった。SBを用いたときの平均効果(12組合わせ条件の平均値)は,σ^tが46MPa,σ_fが32MPa,PX21を用いたときのσ_tは42MPa,σ_fは24MPaでいずれもPX21の方が小さい。試験片の浸漬日数を1日から7日に増加すると,SBを用いたときのσ_t,σ_fは増加するが,PX21を用いるとσ_tは僅かに増加し,σ_fは逆に減少した。合金KIK,UMTの主効果はσ_fの場合のみ高度に有意で,UMTを用いたとき46,KIKのとき37MPaであった。
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