研究概要 |
吃音児の発生予防を目的として計画された研究であるが、「U仮設の類型化診断」手続きを適用して吃音の進展を評価した場合に、果たして予測可能か検討した。U仮設による診断類型のうち、 (1)U-1:A-1に該当する症例を発見し、自然治癒との関連を明らかにすること。 (2)U-4:B-1,U-4:A-2,U-4:B-2に該当する症例が吃音の予防に関連することを明らかにすること。 平成5年度の研究から、該当症例の入手が極めて困難なことが判明したので、少数例に絞ってようやく症例Aを獲得した。 平成6年度の本研究から以下の結果が明らかとなった。 1)症例Aには、U-4:B-2という類型化診断がなされ、現段階では、予防の可能性が見られた。しかし確定するには完全な治癒まで数年を必要とすること。 2)従来、自験例として治癒した症例Pは、超早期発吃型女児で、類似症例として対比することができた。その結果、同じくU-4:B-2の診断類型であった。 3)吃音の進展の速さ・改善の困難度から、理論的には、類型診断上、U-4:B-2>U-4:B-1>U-4:A-1の関係が想定されることから、これらの診断類型も同様に凡そ予防の可能性が予想された。しかし症例による実証は今後の課題である。 4)診断過程で、(1)親子吃音関係診断テスト、(2)吃音児行動チェックリツト、(3)環境状況チェックリスト、(4)吃音児言語態度チェックリストは有効であった。
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