研究概要 |
地域情報化は情報化の第2段階にあると言われる。ニューメディアなどの新しい情報機器の導入や情報基盤の整備が,地方の中小都市や中小企業にもそれを押し広げようとするものである。これらのことによって,地方においても利便さや快適さが享受でき,地域の活性化が生み出され,中央と地方との格差が是正され,そして個性ある地域の発展が期待されるものとなった。けれども,他方において,このような人々の期待とは異なり,現実はかなりきびしい状況となっている。むしろ,こんにち,地域情報化のいきづまりが問題とされ,各地における地域情報化事業の遅れが目立ってきている。これまでの情報化は,新しいメディアの利用によって,社会の効率化,合理化,利便化がもたらされることを目指したものであった。情報かは産業中心に推し進められ、情報化による産業振興が図られてきた。地域情報化も「産業化の論理」にもとづく情報化であり,効率性や利便性というモノの論理によって貫かれたものであった。 けれども,いまや,モノ時代の終焉が告げられ,効率ではなく「ゆとり」が追求されるようになってきている。ここから,地域情報化は脱産業化に,ヒトやココロの重視へ,そして生活や分化の方向に向かうべきものとなる。各自治体の地域情報化の今後の方向も生活の情報化や文化の情報化へと確実にシフトしつつある。そして,これまで軽視されてきた地域情報の開発に進んでいる。そして,このような地域情報は地域住民が下から,内から生み出すべきものであり,地域情報化には地域住民の積極的参加が必要とされる。そのことによって,人々は単に情報を受信するだけではなく,応報をみずから発信でき,それによって,双方向のコミュニティ・コミュニケーションを活発に展開しうるようになる。
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