研究概要 |
情報化の進行は各種の情報メディアの布置状況を変化させ、したがってまた諸領域における資源的メディアの布置と流れをも変えた。INSに代表されるニュー・メディア・ネットワークが世界的なスケールで人びとの生活を変えつつある。そのなかで,たとえば,消費生活における資源の流通規模の拡大と財パターンの多様化は顕著であるし,その決済方式としてのカード化の進行も急ピッチである。「三段の流れ」として捉えられる,今日の情報化のもとでのコミュニケーション構造と過程は、産業構造にインパクトを与え,人びとの職業構造に変化をもたらしたし、人間関係にも次第に変更を求めつつある。こうして人びとの生活システムは社会変動と対応しながら変化せざるを得ないし、その選択肢も新たなパターンを付加されつつある。当然、その時・空的な秩序像としての生活構造も変化している。この生活システムの原理的な傾向として把握されるライフスタイルも多様化し、その主要なパターンに変化が生じつつある。その基本軸は手段的価値基準から具現的価値基準の方向へのシフト傾向をみせている。それはポスト産業社会のそれに対応する高度大衆消費社会の一般傾向と合致する方向である。このような価値づけは、単に生活主体の主観的な意味づけや願望レベルの事実ではなく,社会の構造的な基軸である(1)地位構造(とくに,性と世代による地位および成層的地位)に応じて,また(2)コミュニティと集団の構造に応じて,人びとが自己の生活システムを通してどのようなチャンスを獲得しようとしているのか、また実際に何を実現できるか,という両面でのライフチャンスによって規定されていることが社会学的に重要な点である。
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