研究概要 |
配列したアルカリ金属クラスターをゼオライトLTA結晶のナノスケール細孔を利用して作成し,以下の結果を得た. 1.カリウムクラスターに含まれる4s電子数が約5個の時に,強磁性が観測された.この系が磁性元素を全く含まないにもかかわらず,強磁性が観測される理由は,おおよそ以下の様に解釈された.クラスターの下から二番目のp‐likeな量子準位に電子が半分詰まった状態の時に,フント則によって磁気モーメントが最大になると予想される.それがクラスター間の相互作用によって互いにおなじ方向に配向すれば強磁性が観測される. 2.ルビジウムクラスターにおいても,同様に強磁性が観測されたが,カリウムクラスターと比較して強磁性は弱くなった.これは,クラスター内への電子の閉じこめポテンシャルが弱くなり,遍歴性が増大したためと解釈された. 3.ナトリウムクラスターでは,どのような電子数においても強磁性は全く観測されず,反磁性が現れた.これは,電子格子相互作用が増大し,電子は反発力に打ち勝って対を形成し,シングレット状態が安定となるものと解釈された.
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