研究課題/領域番号 |
05452091
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
南日 康夫 筑波大学, 物質工学系, 教授 (10133026)
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研究分担者 |
大井川 治宏 筑波大学, 物質工学系, 講師 (60223715)
重川 秀実 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (20134489)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 硫黄処理 / 砒化ガリウム / 分子線エピタキシ- / 界面構造物性 / 光電子分光法 / X線定在波法 / 走査型トンネル顕微鏡 / 反射型高速電子線回析 / 分子線エピタキシー / 光電子分光 / トンネル顕微鏡 |
研究概要 |
GaAsデバイスの多機能・高性能化を計るためには、表面に高品質のエピタキシャル薄膜を再現性良く成長させることが必要であるが、GaAsの表面・界面は極めて欠陥の発生しやすい場所のため、一部のヘテロ接合(AlAs-GaAs界面)を除き、良好な表面・界面特性を併せ持つ高品質薄膜を作製することは出来なかった。しかしながら、我々が発見した「硫黄処理」は、表面欠陥の発生要因と考えられる、1.吸着不純物、2.表面の凹凸、3.ストイキオメトリー、4.熱的安定性等の影響を抑え、欠陥密度を著しく減少させる。これは、GaAs表面が単分子硫黄膜によって保護された結果であり、この硫黄層を界面に巧く取り込めれば、良質なヘテロ界面の実現が期待出来る。そこで、本課題では、a)硫黄処理GaAs表面へのエピタキシャル結晶薄膜の作製とb)その界面構造物性の解明に重点を置いて、研究を行った。 薄膜の作製は、成長条件を精密かつ正確に制御できる様、水晶振動子やパイロメータを備えた分子線エピタキシ-装置を用いて行った。特に、その成長過程を反射型高速電子線回析装置(RHEED)、X線光電子分光装置(XPS)、走査型トンネル電子顕微鏡(STM)により詳細に分析し、硫黄原子の界面への取り込まれ方を結合状態や原子配列の変化から導出した。その結果、1.硫黄理GaAs表面の硫黄原子はS-Ga結合を形成し、Asサイト近傍を占めること、2.硫黄原子同士は表面でダイマー構造をとること、3.処理表面上で金属AlやCaF_2絶縁膜がエピタキシャル成長すること、4.成長過程において、それぞれの界面でAl-S結合、Ca-S結合が形成されている、5.この界面構造は熱的にも安定であること等がわかった。さらに、軟X線定在波法(XSW)を用いて、薄膜形成後の「埋もれた界面」に存在する硫黄原子がとる面間隔を同定し、その内面の配列が極めて秩序立っていることを明らかにした。すなわち、硫黄処理を施したGaAsでは界面の擾乱が少なく、欠陥の発生が抑制される。実際に、容量-電圧(C-V)法や電流-電圧(I-V)法、並びにフォトルミネッセンス(PL)法により測定した試料の電気・光学的特性は、界面欠陥密度の二桁以上の減少を示した。 本研究により、硫黄処理GaAs表面上へのエピタキシャル成長とその界面特性の秀逸性が、構造物性の観点から初めて見出された。
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