研究課題/領域番号 |
05452103
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
表面界面物性
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川合 知二 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20092546)
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研究分担者 |
金井 真樹 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (50243267)
北浜 克煕 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20029903)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | レーザーアブレーション / 強誘電体 / 超格子 / 人工格子 / 機能性酸化物 / 誘電率 / 材料設計 / 層状成長 / SrTiO_3 / BaTiO_3 / 歪格子 |
研究概要 |
BaTiO_3等の変位型強誘電体においては、各構成イオンのわずかな変位により誘電特性が大きく変化する。そこで反射高速電子線回折(RHEED)を併用したレーザMBE法により、SrTiO_3とBaTiO_3とを各々積層厚さが1ユニットセル(4A)毎から250ユニットセル(1000A)毎まで周期を変化させた誘電体歪超格子を作製した。 積層周期が薄くなるに従って、BaTiO_3層のa軸は圧縮されて縮み、c軸はポアソン比を保つかたちで伸びている。格子のミスマッチ(約2.5%)により積層界面に結晶歪が導入されたと考えられ、格子歪みから見積もられるSrTiO_3/BaTiO_3界面での結晶化学的な圧力はおよそ0.5-1.00GPaと非常に大きな値であった。 また誘電率は、この格子歪みに対応して急激に増加し、薄膜としては非常に大きな値(約900)を示した。これに対して人工格子と同じ膜圧の(Sr_<0.5>Ba_<0.5>)TiO_3固溶体の薄膜における誘電率はおよそ300であった。人工格子で大きな誘電率を示すのは、積層する各層の厚さが薄くなるに従い格子歪が大きくなり、これに伴い正方晶性が強調されて誘電率が増大したものと考えられる。さらに興味深いことは、超格子の誘電特性の温度依存性において、固溶体(Sr,Ba)TiO_3の単相膜が約35℃付近で急激な転移を示し、誘電率が減少するのに対して、超格子では人工格子の積相界面に周期的に導入されている歪効果のために正方晶構造が保持されて、200℃以上の高温まで高い誘電率を示している。誘電率の総膜厚に対する変化に関して、(Sr_<0.5>Ba_<0.5>)TiO_3固溶体薄膜の誘電率は膜厚の減少と共に急激に低下しているのに対し、歪超格子では膜厚500Aの薄い試料でも誘電率500〜700の高い値を示した。この結果は、「膜厚を薄くすると誘電率が低下する」という現在の誘電体薄膜化における深刻な問題点を解決する一つの有力な手段として注目すべき結果であると考えられる。
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