研究概要 |
超高真空中での極微細加工における特異現象を究明するため,加工,測定,観察及び評価といった一連の作業が同一システム内で可能な超高真空微細加工評価システムを構築し,その基礎性能を評価した。 第1番目の研究課題として,環境温度の変化があっても高精度の測定ができる原子間力顕微鏡(AFM)を開発することを目的にAFMユニットの熱変形対策について検討した.環境温度が変化しても2点間の距離が一定に保たれる構造を新たに提案・検証し,この原理を自作のAFMユニットに適用することで,熱環境変化の影響が少なく高精密画像が得られるAFMシステムを構築した. 第2番目に,微細加工,加工力測定,加工面観察及び加工面評価などの一連のシステムを兼ね備えた原子間力顕微鏡一体型微細加工評価装置を設計,試作した.試作装置では,とくに超高真空中で駆動する各種の新しい機械要素及び機構を取り入れ,小型軽量で高性能化を実現した. 第3番目に,試作した微細加工評価装置の超高真空下での挙動及び性能を調べ問題点を抽出した結果,抵抗値変化型カンチレバ-及び粗動機構に適用した磁力式インチワ-ムに不具合が生じ,精密画像を得るに至らなかった.今後,これらの問題を解決し,目的を達成することに注力していく予定である. 今後の展望として,試作システムを用いて各種雰囲気ガス中と超高真空中での微細加工を行い,超高真空中での加工現象の特異性を抽出するとともに,大気中での酸化や吸着がない清浄な新生面の特徴を把握していくことを考えている.
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