研究概要 |
独自に開発した鋼球投射による板材の特殊成形法を,わが国で工業的に利用できるようにするための応用研究を行う目的で,新たにブロワ-型のピーン成形装置を設置した.本装置の導入により,従来より数倍能率的な実験の遂行が可能となり,以下の成果を得た. 1.走査形投射においては未投射域が弾性的に蓄えうるエネルギー量に限界があるため,最大有効投射エネルギーが存在し,これが最適投射条件を与えることを示した. 1.被加工材の材質の違いによる成形性の差異が加工硬化特性の違いによることを明らかにした. 1.単曲面の曲げ成形において,予備曲げ法のように型を用いることなく,所望曲げ角を得る方法として,試料投射長さを規定する方法とこれを実現する試料保持具を考案し,所望の曲げ角が得られることを示した. 1.投射部端部に生じるだれ込みの欠陥が,裏面投射を一定割合で併用することにより抑制できることを示した. 1.形材の代表として半円管材を取り上げ,これを軸回りに回転させながらレンズ状の穴を持つマスクで被覆して,外表面から投射すると順方向曲げができ,双曲線形の穴を持つマスクで被覆して内表面から投射すると逆方向曲げすなわちくら形成形ができることを示した. 1.平板の複局面成形に当たるくら形成形が,第1投射として単曲面曲げを行った後,裏面から曲げ線を垂直に交叉させ,双曲線形の穴を持つマスクで被覆して第2投射を行うことによって実現できることを示した.このとき生じる投射部端部のだれ込みは,逆の面を一定率で打つことにより抑制できた. 1.研究期間中に,三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所で本加工法を用いた航空機の主翼の試作が開始され,上記のくら形成形の研究成果を基に助言を与えることができた.
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