研究概要 |
本研究では,鉛直交流磁場作用下でのスパイク状非線形界面の挙動に関して,まず,その基礎となる単一スパイクについて,スパイク形状を半回転楕円体と仮定した場合のスパイク振動について近似解析を行い,さらに高速度ビデオカメラやレーザ外形測定器等を用いた水ベース磁性流体の不安定波のパターンセンジングを行い,スパイク形状や印加磁場に対する振動の周波数特性を実験的に調べた.また,SOLA-VOF法によってスパイク形状や,スパイク内部の流動の様子を数値解析により調べた.さらに,窒化鉄磁性流体(高透磁率磁性流体)を用い水平交流磁場作用下での界面挙動を調べた. その結果,次のような結論を得た. (1)スパイクの振動パターンは,印加磁場周波数と同じ周波数で振動する場合が1通り,2倍の周波数で振動する場合には2通りのパターンがある. (2)印加磁場周波数の2倍の周波数で振動する場合は単一スパイクを形成するが,印加磁場周波数と同じ周波数で振動する場合には,単一スパイクが一旦複数のスパイクに分裂し,さらに単一のスパイクに復帰する過程を交互に繰り返しながら振動する特異な挙動を示す.この特異な振動パターンは特定な周波数,印加磁場強さにおいて発生し,その発生領域は水平面で発生する振動不安定波の発生領域と酷似している. (3)スパイクの振動振幅が大きくなる共振周波数が存在する. (4)スパイクの突起形状は磁化率および表面張力に強く依存し,磁化率が大きく表面張力が小さいほどスパイク高さは高くなり突起先端は鋭く尖る. (5)高透磁率磁性流体では外部磁場の分布を著しく変化させるため,有限容器内に満たされている場合には低透磁率磁性流体では無視し得る側壁部の挙動が全体の界面挙動に強く影響を及ぼす.実験から,低透磁率磁性流体では不安定波が現れない一様水平磁場作用下でも印加磁場方向と直交する波数ベクトルを有する不安定波の発生が確認された.
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