研究概要 |
プラズマ活性反応化効果を利用して薄膜プロセスを促進することは荷電粒子のエネルギーを外部からの電磁場によって最適に制御できるので理にかなった手法である。本研究は,薄膜物質がプラズマ電離中を通過する際に生起するエネルギー状態変化を各粒子間の相互作用を考慮しながら分子レベルで把握して,これを実際のプロセス製造装置に役立てることを目的に行った。平成5年度においては,(1-1)ガスノズルから成膜キャンバー内へ薄膜生成用ガスを導入した時の希薄ガス流の解析,(1-2)プラズマ電離場中での粒子の飛行と電離プロセスの解析を主に遂行した。(1-1)はDSMC法で行い,ノズル配置や寸法及び流量による流動特性を解明して薄膜均一化と高生産性のための装置設計条件を提案できた。(1-2)はプラズマ診断の新システムを提示すると共に分子動力学法による荷電粒子の挙動解析に成功した。平成6年度は新たに(2-1)基板界面反応の解明を推進した。これには分子動力学に化学反応をいかに組み込むかが課題となり,活性化エネルギーだけでなく衝突角度(立体配置)も考慮できるモデルを提案した結果,かなり有用で物理的にも合理的であることが判明した。本課題を実験的にも検証するためLIFと分光を併用した分子線計測システムを導入して,その基礎性能を特定した。平成7年度は(3-1)膜厚均一性のためのガス流入条件として複数干渉ノズル方式が有用であること,(3-2)Ar等の活性ラジカル種の活用により気相反応も促進されること,(3-3)量子化学反応解析の必要性から分子軌道法による計算を行い,最適化反応のための衝突とエネルギー交換過程を明らかにできた。本成果は薄膜プロセスだけでなく,例えばCO_2の燃料種への物質変換にも応用できる。また,分子軌道法→MD法→MC法→NS法へと連成させるCAE構築の可能性も見出した。以上の成果は材料プロセス装置の設計に役立つと確信する。
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