研究概要 |
本「グラスプレス・マニピュレーションの研究」では;人が物体を操作する時にがっちりと掴み上げるのでなく,押したり,転がしたりして,器用に操りを行なっていることを参考に,ロボットマニピュレーションにおける,テーブルや床面等の周辺環境をうまく支えとして用いることによる,器用かつ効率的な新しいタイプの物体操作手法を提案し,その基礎理論および実験を行なった.研究は大きく分けて,次の3つの部分から成る. 1.グラスプレス・マニピュレーションの提案 環境との接触を利用したグラスプレス・マニピュレーションの定義を行ない,床面との接触状態から3種に分類されることを示した.これは従来から研究されていた押し操作,転がし操作,および本研究で行なったピボット操作が対応する.この3種類は移動速度や任意位置への操作可能性等性質も様々であり,組み合わせることにより様々な状況,用途での操りを達成できる. 2.人間の手法を参考としたグラスプレス・マニピュレーション グラスプレス・マニピュレーションでは,「ハンド-対象物-環境」という閉ループ系が存在する.これに対処するため本研究では,力制御によらず,人間の手法を基に位置制御ベースで操りを行なう手法を2種提案した.1つは指先の剛性を低くした,受動関節を導入する手法.2つには剛性を高め,幾何拘束の可動空間を利用する手法である. 視覚を用いたグラスプレス・マニピュレーション グラスプレス・マニピュレーションでは文字通り対象物を把持しないため,ハンド位置がそのまま対象物の位置には対応せず,摩擦力等により予測不可能な運動を行なう.そこでハンドアイシステムを構築し,視覚による対象物の追跡及び運動の分類を行なう.これを用いて1本指で対象物を操る実験を行なった.
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