研究課題/領域番号 |
05452182
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山下 努 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (30006259)
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研究分担者 |
大嶋 重利 山形大学, 工学部, 教授 (40124557)
中島 健介 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (70198084)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | LB膜 / 超抵抗現象 / 有機超伝導 / 導電性有機薄膜 / 有機単分子膜 / ヘテロ構造 / TCNQ / アラキジン酸カドミウム / ステアリル・アミン |
研究概要 |
超低抵抗現象の発現と検証を目的にヘテロ構造LB膜の作製と電気的特性に関する研究を行った。日野らの報告したアラキジン酸Cd(AA)/C_<15>TCNQ(TCNQ)ヘテロLB膜における超低抵抗現象は確認できなかった。当該現象の発現にはZ型TCNQ有極性LB膜の有する自発電界とそれに伴うAA/TCNQヘテロ界面における電子雲の生成が重要な役割を果たしていると言われている。また、本研究では、TCNQの一部が下層液中のCd^<2+>とCd-TCNQ錯体を形成すること、その錯体が電界によって電荷移動錯体に変化し導電性を帯びることを見出した。自発電界を有する有極性Z型TCNQ LB膜と無極性AA LB膜のヘテロ界面にCd-TCNQ電荷移動錯体による2次元導電層が形成されたと想定した。報告されている超低抵抗現象は、ギンツブルグの提唱した高温超伝導モデルの基礎とする誘電体/2次元導電体/誘電体ヘテロ構造のためと考えることもできる。本研究では、このヘテロ構造を実現するために高導電率、有極性そして無極性の薄膜をLB法により作製しその評価を行った。このうち無極性膜に関してはY型アラキジン酸Cd LB膜が十分な膜質を有している。導電性LB膜に関しては、BEDT-TTF(BO)とTCNQの電荷移動錯体を使うことにより十分な導電率(1S/cm程度)を有するBO-C_<15>TCNQ LB膜を作製することに成功した。有極性LB膜に関しては、不安定なZ型C_<15>TCNQ LB膜に代わって、典型的なLB分子であるアラキジン酸CdとステアリルアミンのY型交互積層ヘテロ膜を作製し、十分な膜質と自発電位(7層膜で約1.8V)を有することを見出している。これら一連のLB膜によって構成される無極性LB膜/導電性LB膜/有極性LB膜ヘテロ積層LB膜の電気特性は、超低抵抗現象の発現だけでなく、新しい分子デバイスへの応用面からも非常に興味深く、詳細な検討が望まれる。
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