研究概要 |
1.分母分離形ラティスおよび直接形2次元適用フィルタのLMSアルゴリズムを考案した.提案した適応アルゴリズムは,2次元フィルタであるにもかかわらず,安定性判別が簡単であること,および適応のための計算が少ないことに特徴がある. 2.提案のアルゴリズムによって,2次元システム同定および画像の雑音除去(適応ラインエンハンサ)を行い,提案手法によってこれらの処理が安定に実行可能であることが確認された. 3.並列完全分離形構造を用いて2次元適応フィルタのアルゴリズムを考案した.この構造は,フィルタの安定性判別が極めて容易であること,ならびに並列処理が可能であることにその特徴がある. 4.本研究者らが提案している並列完全分離形2次元適応フィルタのアルゴリズムをワークステーション上に実現し,その計算量・処理能力を詳細に評価した.その結果,従来のLMS法によるFIR形2次元適応フィルタでは,フィルタ次数をnとすれば,O(n^2)〜O(n^3)の計算量であるのに対して,本手法ではO(n)〜O(n^2)の計算量となり,計算量が激減することが確認された. 5.並列完全分離形2次元適応フィルタにより2次元システム同定と画像雑音除去を行った.計算量(乗算回数)が同一であるという条件の下で,システム同定の実験では,本提案法は,従来法に比べて収束速度が速く,また残留誤差が少ないことが確認された.また,画像の雑音除去では,従来法に比べて,約2dB向上することが確認された.
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