研究概要 |
筆者等は木材の多孔性と磁性流体が液体であることを利用して木材中に磁性流体を浸透,注入させる方法,または木材表面に磁性流体を塗布する方法により,磁気特性を有する木質材を考案・試作してきた。 この磁性木材は木材表面又は木材中への磁性流体の浸透度合いにより透磁率および磁束密度等の磁気特性に違いを持たせることができる。 このため,木質材の肌触りや温もり等,やさしい素材感を生かしつつ,これまでの木材には全くない磁気特性を付与することが可能となる。 しかし,各作製法による磁性木材の特徴および磁気特性の違い等について十分に明らかにさせているとはいえない。 そこで,本研究では上記の問題を解決すべく加圧法による磁性木材,磁性粉末と木粉による磁性木材および漆を接着剤として利用した磁性木材それぞれについて磁気特性,木質材の作製上および加工性に関する簡単な比較検討を行い各作製法による磁性木材の得失を明らかにした。 その結果,磁気特性として高透磁率の磁性木材を作製するためには 現状では磁性粉末と木粉を混合して固める手法が 磁気特性を向上できるものと考えられる。一方,木質材としての肌触り,温もり等のやさしい素材感を損なわずに磁気特性を木材に持たせるには磁性流体を含浸させた磁性木材が優れているものと思われる。又,一般の木材と同様に鉋および鋸により手軽に加工ができるを明確にできた。
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