配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1993年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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研究概要 |
建物に作用する地震波は3次元に挙動する波であるため,構造物自体の応答性状に対しても3方向の重畳効果が作用する。本研究では,サブストラクチャー・オンライン地震応答実験を実施し,鉛直方向と水平一方向の重畳効果の検討を行った。実験の対象となる鉄筋コンクリート造2スパン12階立て建物を日本建築学会刊行の「鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・同解説」に準拠し耐震設計を施し,構造物が大地震時においても想定した崩壊形を形成することを確認した。実験を実施するために,弾塑性平面骨組地震応答解析プログラムを開発し,その実用性を検証した。これは各部材両端の断面にファイバー・モデルを使用することにより部材に対する鉛直-水平方向の重畳効果を含んだ構造物の地震時の挙動を詳細にシミュレートすることが可能な地震応答解析プログラムである。実験の実施にあたり,柱部材の加力は3台のアクチュエータにより行い、2軸3自由度,すなわち材端部の回転,せん断,軸方向変形をパソコンにより制御した。また,地震応答解析用のコンピュータにはEWSを使用し,柱試験体の復元力,加力目標変形のデータのやり取りはRS-232Cインターフェイスを介して行った。今回の実験により2軸3自由度の加力法を確立し,その実用性を検証することができた。実験の変動因子は鉛直地震動の入力レベルであったが,建物全体の応答変形量に関しては鉛直地震動の入力は大きな影響を与えないことがわかった。しかし,柱部材に注目すると,鉛直地震動を入力することにより柱の反曲点位置が大きく移動し,部材に生じる損傷に差異が生じることが明らかとなった。 今後,梁部材に注目した鉛直方向と水平一方向の重畳効果の検討,さらには実構造物と同様に立体地震動下での構造物に対する鉛直方向と水平二方向の重畳効果を検討する必要がある。
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