研究概要 |
本研究に関しては,本年度が最終年度であり,昨年度の成果をふまえ、金属射出設計プロセス設計を,本研究で開発した粉粒体モデリングに基づいて実行することを示した。2年間の成果として開発研究した粉粒体モデリングシミュレータGRANDEの機能を以下に示す。 (1)粉末-高分子バインダー混合体の物理モデル 通常の連続体力学に基礎をおく解析法あるいはシミュレータと比較して,粉末特性および高分子バインダーの弾粘性特性を直接考慮し,局所的な粉末のかたより(偏折)・見かけ粘度分布の変化など,混合体の物性値の予測が可能である。 (2)ゲート部・チャネル部の3次元流動解析 連続体力学に基づくモデル,例えば有限差分法による流動解折では,3次元解折においても,充填までの混合体流動パターンのみであるが,本方法においては,粒子の凝集・移動・分離現象の記述と,それら素過程によるマクロな流動変化を記述することができる。したがって,複雑にプロセス因子が関与する粉末射出成形現象を,粉末特性に根ざして解折し、適切なプロセス制御へと導くことができる。 (3)金型冷却・加熱過程との連成解析 金型温度の制御は,混合体の流動を大きく左右する。3次元粉粒体解折を,温度との連成を考慮して実行することにより,チャネルの閉差現象,高分子バインダーによる流動変化を直接推定できる。 本研究は,上記の特長を有する粉粒体モデリングをさらに拡張し,実用設計に利用できる平滑化粉粒体モデルの開発を急いでいる。これにより,これまでの連続体手法あるいはプラスチック射出成形解析に代る,新手法・物理モデルを提示し,次世代の金属射出成形に向けた工学的基盤を築くことができるものと考えている。
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