研究概要 |
急速凝固法は,微細組織の形成・過飽和固溶体の生成・準安定相あるいは非晶質の形成などによる新しい機能の発現,またニアネットシェイプ製造法として発展が永らく期待されてきた。今後の更なる発展を期すためには,適切な計測法の開発による現象の理解の深化と現象の適切なモデリングによるプロセスシミュレーションが一層必要となり,急速凝固の制御法を確立させることが望まれる。本研究は,定量的な生成相の選択基準・形態予測・偏析予測などを求めるとともに,急速凝固法による磁性材料・構造材料の新たな発展の指針を明らかにする,ことを目的にした。 その結果,本研究の成果として次のような結果が得られた。 1.包晶反応を伴う合金系の組織ならびに相選択基準を明確にした。 2.急冷粉末の凝固過程を,過冷度・球径・粉末と環境ガス間の熱伝達係数を操作変数として解析した。 3.核生成を考慮した結晶成長モデルの構築基板部と接触した融液部の熱測定より,基板部で起こり得る核発生頻度の経験式を導き,これを基に,非結晶成長モデルを展開した。 4.Nd-Fe-B永久磁石材料におけるFe相とNd2Fe14Bとの相選択を検討した。この手法により高保磁力合金を発展させるために初期組成によるNd2Fe14B相の生成条件を明らかにした。 5.Nd-Fe-B永久磁石材料における凝固パスを解析し,構成相の体積分率と初期組成の関係を明確にした。また,保磁力を規定する粒界相の種類・生成条件・熱的安定性を検討した。
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