研究課題/領域番号 |
05452300
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属生産工学
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研究機関 | 宇宙科学研究所 |
研究代表者 |
栗林 一彦 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 教授 (70092195)
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研究分担者 |
稲富 裕光 宇宙科学研究所, 宇宙基地利用研究センター, 助教授 (50249934)
佐藤 英一 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助教授 (40178710)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1994年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1993年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | ファセット界面 / 界面カイネティックス / 熱・物質輸送 / 可視化 / 包晶反応 / 界面カイネティクス / 二波長干渉法 / 界面形態不安定性 / 組成的過冷却 |
研究概要 |
Y系の酸化物超伝導体の方向性凝固による結晶成長において、123相生成の包晶反応に必要な原子は、(1)123相の成長端に接した211相から表面拡散により運ばれるというモデルと、(2)211相から液相内拡散により123相表面に運ばれるというモデルの二つが提唱されている。後者のモデルにおける拡散の駆動力としては、211相表面の曲率に起因するギブス-トムソン効果と反応生成表面の過冷却効果が挙げられている。特に123相表面は鋸歯状の典型的なファセット的凝固界面であることから、界面過冷却効果に注目が集まっている。二つのモデルの優越を決めるには、液相内拡散を裏付ける溶質原子の濃度勾配の存在と、反応生成相の核生成過程が明らかになる必要がある。しかしながら、これ以外にも温度勾配下の方向性凝固にも関わらず、何故ファセット的形態が保たれるのか等、ファセット的凝固については不明の点は多い。これまで、代表者らは透明な有機結晶をモデル試料にした固液界面近傍の光学的可視化実験から、このような界面では界面温度が一様になるように液相中の温度分布が変化することで界面形態が維持されることを明らかにしてきたが、界面前方の温度分布が変化する原因については不明であった。本研究では、試料の幾何学的形状、凝固条件を変化させることにより温度分布の変化の理由についての検討を行った。 種々の有機結晶において50μmΦの熱電対を挿入した試料セルを用いた液相内温度分布の時間変化の測定からは、融解に伴うエントロピー変化ΔSmが稠密金属の値に近いサクシノニトリルでは固液界面近傍の温度変化は小さいが、ΔSmが大きくファセット的界面形態を呈するザロール、チモールでは、顕著な変化が観察された。またザロールにおいて、凝固速度Rが異なる場合も界面近傍の温度分布の変化が著しくなることが分かった。これらの挙動は凝固の進行に伴う凝固潜熱の解放の影響を無次元化したη(=Q/k・R/G)と良い相関があること、すなわちRおよび温度勾配G等の凝固条件が同じならば、凝固潜熱Qが大きく、熱拡散率kが小さいほど界面における温度分布の変化は顕著であることが明らかとなった。
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