研究概要 |
本研究では,表面に沈着した微粒子の除去法として,ジェット気流を用いた乾式洗浄法を開発することを目的とした.そして,種々の条件を変えて,表面上に沈着させた微粒子のパルスエアジェットによる飛散実験を行なった.以下に,本研究で得られた知見を述べる. 1.ウエハ表面からのPSL粒子の飛散において,沈着後長時間放置すると,沈着方法によらず,飛散率は一定の値を取る. 2.平滑表面からの球形粒子の飛散では,流体抵抗とvan der Waals力による付着力の比(飛散パラメーター:F^*)が等しい場合,粒子と被洗浄表面の材質によらず,飛散率は一致する. 3.1パルスあたりの飛散率は,パルスエアジェット噴射回数に対して指数関数的に減少し,F^*とパルスエアジェット噴射回数の関数として表現できる.このことから,平滑表面からの球形粒子の積算の飛散率を,F^*により予測することができる. 4.表面が半導体,導体の場合,粒子の帯電は除去性能に影響を及ぼさない,一方,表面が誘電体の場合,気流の圧力が低い場合には,粒子が帯電していると帯電していない場合に比べ除去率が低下するものの,圧力を上昇させると除去率は粒子の帯電に無関係となる.このことから,静電気力が付着力としては,van der Waals力に比べ弱い力であることがわかる. 5.表面が粗い場合,表面の凹凸の間隔と付着する粒子の粒径の相対的な関係によって,除去率は変化する.凹凸の間隔と粒径が同程度である場合,除去率は平滑表面に比べ高くなるが,凹凸の間隔より粒径がかなり大きい場合は,平滑表面に比べ,粗い表面の方が若干除去率が低下する. 6.粒子形状が非球形の場合,球形粒子と比較して,表面との接近質量が小さい粒子は除去率が高い.一方,表面との接触面積が大きい粒子では除去率は低下する.この傾向は,粒径が小さいほど顕著に現れる.
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