研究概要 |
この研究は,ロックウ-ルに代わるスギ,ヒノキ樹皮排材ベッドの水耕栽培への適応性を調べるため,その基礎的特性を明らかにした。その主な結果は次の通りである。 1.樹皮材ベッドの吸水特性は,精油含有成分によって吸水が阻害されるが,浸水によって改善される。また,吸水はロックウ-ルに比べて,比較的緩やかであり,一定時間経過後に飽和状態となる。その含水比は,350%程度であり,浸水最適時間は12〜24時間程度である。 2.三相分布においては,ロックウ-ルの液粗率は極めて高い,一方樹皮材ベッドは,その特性が土壌に近い。 3.樹皮材ベッドの浸透特性において,樹皮材ベッドは横方向への水の浸透が比較的容易であり,樹皮材ベッドに点滴潅水を行う場合,ロックウ-ルに比べ,ベッド内の水分分布を均一にすることが容易である。これらのことから,植物に対して良好な環境を作ることができるものと考えられる。また,根の呼吸という点から考えると湿潤状態は,植物にとり好ましくない。このことから,樹皮材ベッドは,排水性においてもロックウ-ルに比べ良い。 4.ベッドの試作において,吸水性に関しては,使用する樹皮材のサイズが大きい場合に,吸水性は高く,乾燥性(保水性)に関しては,接着剤の量の影響は少ないものと考えられる。 5.樹皮材ベッドを用いたトマトの栽培実験において,蒸散量,茎径の変化から判断して,最適pF値は,pF1.6〜2.0の間であり,これはわが国の施設園芸における最適水分条件とほぼ一致した。
|