配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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研究概要 |
陽電子プラズマを形成してその特性を研究することが本研究の目的である.このためには,大量の陽電子を安定に非中性プラズマとして蓄積・閉じ込める方法関する研究がまづ必要であった.本3カ年計画で最終的に陽電子プラズマを形成するに至った.以下,主な成果を纏める. 1.電子線形加速器(LINAC)を用いて大量の低速陽電子を発生する実験を行い,対創生でできた非熱化陽電子と熱化陽電子をともに取り出す方法を開発して,時間平均発生率6x10^<10>[e+/s]を実現した.この発生率は世界的にみても最高値に位置する. 2.LINACで発生した陽電子を固体Ar薄膜の再減速器で数eVに低エネルギー化して,それを電磁場トラップに蓄積して陽電子プラズマを形成することが出来た.得られた粒子総数は10^6を上回り,十分プラズマ状態である.このプラズマのトラップ内での位置制御・排出制御等も可能になった. 3.得られる陽電子プラズマの物性を調べる上で,安定な閉じ込めが必須である.非中性プラズマの自己電荷効果を考慮した閉領域に,安定な剛体回転平衡状態でプラズマを閉じ込める原理的考察とその実証をした.この多リング電極配列を利用する方法を用いて,多様な低温プラズマの固有振動モードの実験研究を行った.非線形効果によるモード間変換過程等を観測している. 4.超伝導マグネット(<8T)を用いた低温陽電子プラズマの形成にも成功した. (1)閉じ込め時間は最長4000秒を記録した. (2)サイクロトロン放射冷却過程を電子プラズマについて観測した. (3)(1),(2)の結果を用いて,微量線源(^<22>Na, 3.7MBq)からのエネルギーの高い陽電子を,低温電子を陽電子の減速体として低エネルギーにして,長時間(>1000s)の蓄積を行った.その結果,室温の陽電子プラズマを形成することに成功した.
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