研究課題/領域番号 |
05452404
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
安井 湘三 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (50132741)
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研究分担者 |
古川 徹生 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (50219101)
八木 哲也 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (50183976)
新島 耕一 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (30047881)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1993年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 網膜 / 水平細胞 / シナプス / グルタミン酸 / ニューラルネットワーク / 可塑性 / 情報圧縮 情報復元 / 一酸化窒素 / 情報圧縮 / 情報復元 |
研究概要 |
発生学的に脳の一部である脊椎動物網膜における神経順応や可塑性の問題を、生理実験および計算論的な手法により、分子レベルから回路レベルに渡る解明を試みた。錐体視細胞→H1水平細胞のグルタミン酸駆動シナプスのうち、かつて我々が独自に発見した短波長光信号を伝達するものが当初からの主対象であった。これがAPBをアゴニスト、cGMPをsecond messengerとする代謝型であること、また、極性反転、コンダクタンス減少型という特質をもつことをほぼ確立した。さらに、一酸化窒素(NO)も重要で、アルギニン→NO→cGMPがH1細胞に内在する証拠を得た。そして実は、NOの産生は明順応時に限り起こることが判明した。従って、NOを明順応信号と仮定すれば、APBシナプスは暗順応時には不活性であるという結果を説明する。実際、NOは明順応と同様に、H1細胞の分光感度曲線を急峻にしたり、青光の受容野を赤光より狭くするという事実を実験的に確認した。これらの効果は、APB感受性短波長系統シナプスがもつ極性反転、コンダクタンス減少型という特質をケーブル理論モデルに組み入れることにより概ね説明できた。 これらのメカニズムは、外界のS/N比(明順応で高)や色に関する視覚環境変化に可塑的に適応変化する機能をもつと推測される。この関連で、人工ニューラルネットによる神経回路の構造学習に関する理論的研究も行った。そのひとつ目は、標準化正則理論を発展的に応用して、外網膜に似た適応神経回路を設計してそのチップを実作したことである。二つ目は、昨年度提出した集束抑制/発散促進と名付ける構造学習の新しいアルゴリズムを文字認識やオートエンコーダを含めた多くの問題に応用し、情報圧縮/復元の観点からもネットワーク構造の最適化に有効なことが分かった。三つ目は、連想記憶ニューラルネットの研究開発であり、本年度はとくにカラー画像の処理に関連した成果を得た。これらの計算論的アプローチは、網膜神経回路の可塑的構造変化の意味を理解することにいづれ役立つものと期待される。
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