研究課題/領域番号 |
05453051
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿波賀 邦夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (10202772)
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研究分担者 |
大塩 寛紀 東北大学, 理学部, 助教授 (66017865)
菅原 正 東京大学, 教養学部, 教授 (50124219)
奥野 恒久 東京大学, 教養学部, 助手 (50251327)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 金属錯体 / 磁性 / 光物性 / 分子素子 / ナノコンポジット / インターカレーション / 磁化率 / 光誘起相転移 |
研究概要 |
鉄イオンなどを含む金属錯体で見られる、高スピン状態と低スピン状態の間に生じる相転移、いわゆるスピンクロスオーバー転移は、古くから調べられてきた問題である。ところが数年前、この転移が光照射によっても生じる(LIESST(Light-Induced Excited Spin State Trapping)効果)ことが新たに見いだされ、注目を集めている。一方IPA(イソプロピルアンモニウム)CuCl_3は、50℃付近でのサーモクロミックな構造相転移に伴い、銅イオン間の磁気相関が反強磁性的から強磁性的に反転する珍しい分子結晶で、LIESST錯体と非常によく似た相図をもつ。この系においてもLIESST現象が発現するのではないかという期待から、紫外から近赤外・赤外までの吸収スペクトルの温度依存性を測定した。室温(反強磁性的低温相)で現れる近赤外部1.3eV付近の強い吸収帯と可視部2.2eV付近の弱い吸収帯が、強磁性的な高温相になるとほとんど消失することが分かった。試料を低温に保ち、半導体レーザーおよびArレーザーにより、このふたつのバンドを選択的に光照射してLIESST効果の有無について調べたが、残念ながら期待した効果は見出せなかった。光誘起相転移の発現には、励起状態のポテンシャル局面まで考慮に入れた分子設計・結晶設計が必要と考えられる。LIESST効果が物質の枠を越えてある程度普遍的な現象であるという仮説の検証のため、もう少し努力したいと思う。 本研究は、最近の分子磁性研究の急成長を背景に、光や電場といった外場とリンクした複合的な新規分子磁性の構築により、分子素子という概念の具体化を目指したものである。上記の研究のほか、無機物質への安定有機ラジカルのインターカレーション、分子磁性とプロトン・ダイナミクスの結合、スピン・フラストレートした系の化学構築といった問題にも取り組んだ。
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