| 研究概要 |
有機電導体の構成成分である新規電子供与体及び受容体の設計.合成,CT錯体の調製,物性と評価を中心に研究した。電子供与体としてはPyrene,Peryleneとそれぞれ等電子構造のHeteroarene,Naptho[1,8-bc:4,5-b'c']-及びNaph-tho[1,8-bc:5,4-b'c']-dithiopheneと2,3,6,7-Tetrathiabenzo-[1,3-cd:4,6-b'c']dipentalene及び誘導体の合成に成功し高電導性のヨウ素錯体を得た。TTFと等電子構造の2-(Thiopyran-4'-ylidene)-1,3-dithiole(TPDT)及びそのSe類似体またそれらの誘導体を多数合成して系統的に研究し多数の高電導性錯体を得た。またこれらドナーの分子及び固体構造を明かにし重要な知見を得た。Pyranylidenemethyl-及びThiopyranylidenemethyl-Furan,及びThiophene,N-Methylpyrrole誘導体を合成したがN-Methypyrrole体はTCNQと高電導性のCT錯体を形成した。新化合物2,2'-Bitellurophene,2,2':5',2"-Terteuropheneを合成しOrganic Metalsの構成分子としての可能性を研究した。また2個のTTF分子をを共役π電子系で連結したdumbbell型分子を合成しTTF上に部分原子価状態を実現し高電導性CT錯体を得る事に成功した。電子受容体については縮合環型ヘテロTCNQ類の優れた特徴を生かす分子修飾として縮合ヘテロ環母核中央部をBenzeneで置換したBenzodithiophene環を母核とする三種の新規TCNQ類似体を合成した。何れも電子受容能は大幅に向上する一方on-site Coulomb反発は小さいと言う特徴を保持した優秀な受容体となり多数の高電導性錯体を与えた。拡張キノイド共役系電子供与体として11,11,12,12-Tetracyano-2,6-an-thraquinodimethane(TANT)の設計合成に成功した。TANTはTCNQに匹敵する受容能を持ちながらdianion状態に於ける電子間反発の小さい優秀な電子受容体であり多数の高電導性錯体を与えた。また9,10-位のCl,CH_3S,n-C_8H_<17>S置換誘導体の合成にも成功し溶解性を改善し,錯形成を容易にする事が出来た。
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